スイートアリッサムの育て方

育てる環境について
スイートアリッサムは日当たりの良い、明るい場所で育てるようにします。生息地が地中海沿岸といった温暖で空気がカラッとした地域なので、高温で湿度の高い環境は苦手です。そのため日本国内で育ててていると、真夏の暑さにやられて枯れてしまうことが多いのですが、
日差しを遮って涼しい場所で管理すると夏を越すことができます。庭に植える際には、日差しが強くなる時間帯に日陰になるような場所を選んで植え込むようにすると夏を越しやすくなります。ただし日光が不足してしまうと、株自体が弱くなってしまい病気にかかりやすくなることがあるので、注意してください。
スイートアリッサムの生育に適した温度は10度から20度になり、蒸れに弱いので気温が上がる前に株を全体的に刈り込んで風通しを良くしておきます。夏を乗り切れれば、その後の秋の開花時期にも花を楽しめます。スイートアリッサムを越冬させる場合には、
霜が降りないように気を付けて直接冷たい風に当たらないような場所で管理します。気温が下がってくると葉が赤く変色してしまうことがありますが、温度が上がると回復してきます。スイートアリッサムは水はけが良く肥沃な土壌を好み、酸性が苦手です。
庭で育てる時には植付け前に苦土石灰を混ぜて中和させ、土壌を改良しておきます。コンテナやハンギングバスケットで育てる時は、腐植質が多く水はけの良い土を利用します。また、スイートアリッサムは花の色によっても耐性が異なり、白い花は比較的暑さに耐性があります。
種付けや水やり、肥料について
スイートアリッサムの種はとても小さいので、ピートバンやジーフィーセブン、小粒の赤玉土などを使用して、覆土は薄くかぶせるようにします。発芽率が良いので、直まきも可能です。発芽したら弱い苗は間引いておき、本葉が4枚~5枚くらいに増えてきたら植付けをします。
苗を植付けする際には赤玉土、腐葉土、川砂などを混ぜた水はけと通気性の良い土を使用します。20cmくらいの間隔で苗を植えるようにして、日当たりの良い場所で管理します。植付けは10月中旬までに行うようにして、それ以降は暖かくなってから植えるようにしてください。
水やりは多すぎると根腐れを起こす原因になるので、若干乾燥気味にして栽培します。プランターなどで育てている場合は、表面の土が乾いてから十分に水を与えるようにします。庭の花壇などで栽培している時には、基本的に水やりは行いません。
長い間雨が降らなかったり、極度に土が乾燥している時に水やりを行うようにします。肥料は植付けの際に堆肥や油かすを土壌に混ぜ込んでおき、その後は開花期間に1週間から2週間に1度、緩効性の固形肥料や液体肥料を与えるようにします。
この時期に肥料が少ないと花付きが悪くなったり葉が変色することがあるので、様子を見ながら肥料を追加するようにしてください。葉の変色は水が多すぎるときと、反対に少なすぎるときにも見られるので、葉の色が変わってきた時には土の状態も合わせて確認するようにします。
増やし方や害虫について
スイートアリッサムは種まきやこぼれ種で簡単に増やすことができて、その他には挿し芽から増やす方法もあります。茎の先端を5cmから8cmほどの長さにカットして、土に植えこむ部分の下葉を取り除いてから水揚げをしておきます。水を十分に吸わせたら、
小粒の赤玉土または挿し木用の土にわりばしなどで穴をあけてから、茎を挿して水やりをします。管理は明るい日陰で行い、根が生えてきたら鉢上げをします。スイートアリッサムが被害にあいやすい害虫は、アブラムシ、コナガ、アオムシ、ヨトウムシなどがあります。
アブラムシは葉や茎に大量に付着して植物の汁を吸うため、葉が収縮することもあり、すす病などの二次被害が起こることがあります。コナガ・アオムシ・ヨトウムシは葉を食いつくす害虫です。対策としては見つけたら取り除くか殺虫剤などを散布して駆除する方法があります。
病気では菌核病にかかることがあり、原因はカビになります。菌核病に感染すると茎や葉が柔らかくなってやがてその部分が黒く変色してカビが生えてきます。そのまま放置しておくと枯れてしまい他の植物に感染してしまうこともあるため、病気を見つけた時は引き抜いて処分するか薬剤を散布します。
高温多湿で多く発生するので、菌核病を予防するには水はけの良い土を利用して、株を適度に刈り込んで風通しを良くしておきます。長い間土の中で生息が可能な菌なので、感染してしまった土は土壌の改良が必要になります。
スイートアリッサムの歴史
スイートアリッサムはアブラナ科ニワナズナ属の多年草です。高温多湿や寒さに弱い性質があり、大半が夏場に枯れてしまうので、日本では一年草として育てることが多くなっています。地中海沿岸やヨーロッパ南部が原産になり、
学名の「Lobularia martima」(ロブラリア・マリティマ)はラテン語で小さなかけらを意味する「lobulus」からきています。また、スイートアリッサムの「スイート」は、甘い香りを放つことから名付けられています。和名は「ニワナズナ」(庭なずな)といい、
横に広がって地面に這うように育つので、花壇のグランドカバーや寄せ植え、ハンギングバスケットで吊り下げて使うほか、岩の隙間に埋め込んでロックガーデンなどにもよく利用されています。スイートアリッサムはアリッサムと省略して呼ばれることもありますが、
学名が「Aliyssum」(アリッサム)であるミヤマナズナ属とは別の種類になります。以前はスイートアリッサムもミヤマナズナ属だったのですが、分類されて現在のニワナズナ属になりました。他にミヤマナズナ属から分類したものには、学名「Aurinia」(アワリニア)といい、
30cmくらいの低木になるイワナズナ属があります。分類される前に使用されていた英名のスイートアリッサムがすでに定着していたため、園芸でアリッサムと言うと、一般的にはニワナズナ属のものを指します。育てやすくさまざまな用途に利用できるため園芸店でも苗が多く出回っています。
スイートアリッサムの特徴
スイートアリッサムは茎にたくさんの小さな花が付き房のようになって、それが密集してカーペットのように広がります。草丈は20cmから30cmほどになり、茎元には笹のような尖った形をした小さな葉が生えています。花の直径は2mm~3mmになり、花弁は4枚で白、ピンク、赤、紫などの色があります。
スイートアリッサムの開花時期は秋に種をまいたものは2月から6月になり、春に種をまいたものは9月から11月になります。花は次々と咲いてくるので、養分を新しい花に移行させるように終わった花がらはこまめに摘み取っておき、茎は脇芽の上でカットしておくと、
花の終わった茎の間のびが防げます。開花が終盤に差し掛かってきた時に全体的に刈り戻しをすると、再び茎が伸びてきて花が咲いてきます。花が終わるとその後には実がなるのですが、スイートアリッサムの実は角果といってアブラナ科によく見られるもので、
二枚の心皮が合わさってできていて、熟すと皮が裂けて種子が出てきて、ここからこぼれ種で増えることもあります。寄せ植えなどで少し高さを出したい場合には、切り戻しをすることでボリュームのある株に育てられます。
気候などの環境に適応して多年草として何年か栽培できたときには、株元が木のようになってきます。スイートアリッサムは育て方も容易になり、さまざまな種類の植物との組み合わせも楽しめるので、ガーデニングを始めたばかりでも栽培しやすい植物です。
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