キンシバイの育て方

育てる環境について
キンシバイはそれほど植える場所を選ばない丈夫な植物です。しかも耐寒性や耐暑性にも優れており、それほど寒さが厳しくなければ順調に育ちます。ただ極度の乾燥は苦手なようで、あまりに乾燥が進み過ぎてしまうと葉先から枯れこんでしまいます。
この植物は日なたで育てるのが理想的ですが、半日陰で育ててもさほど問題はありません。少々日の当たりづらいところに植えても、日光のあたる時間帯があるのであれば、花つきが極端に悪くなるようなこともありません。もちろん全く日の当らない場所やあまりに痩せた土地では、
花をつけないことがありますので植えるのを避けたほうが無難です。また強烈な日差しが長時間にわたって降り注ぐような環境には注意が必要です。樹勢が弱りがちになりますので、乾燥しないように気をつけておきましょう。もっとも庭植えにするのであれば自然の降雨に任せればよく、
夏の高温期の朝か夕方に水を与えるだけで十分です。なおキンシバイは樹高が1メートルぐらいまで育てば、枝が横に広がってくる傾向があります。ですので植える場所には余分なスペースを持たせておいたほうがいいかもしれません。
ただ強く選定しても大丈夫な植物ですので、剪定ができる人であればさほど問題ないでしょう。剪定に適しているのは暖かくなってきた3月頃です。またキンシバイの園芸品種をグラウンドカバーとして用いる場合などは放任しておいてもかまいません。さほど育て方に気を使わなくても十分育ちます。
種付けや水やり、肥料について
キンシバイの植え付けに適しているのは3月から4月頃です。暖かい地域であれば9月から10月頃に植え付けても特に問題は起こらないでしょう。それほど土質にこだわらない植物ですが、やはりしっかりと育てたいのであれば他所の土壌の改良は必要です。
庭に植え付けるのであれば根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、腐葉土やたい肥などを混ぜ合わせて植え付けます。植え付けが終わったら水を十分に注ぎ、棒などで株の周りをつついて根と土地をなじませます。初心者の場合は植え付け用の用土に市販の草花専用の用土をもちいると便利です。
鉢植えの場合は大きめの鉢を使いますが、株が大きくなりがちですので、園芸の熟練者でない場合は鉢植えは裂けておいたほうが無難です。水やりについては乾燥を避ける程度で十分です。夏場など極端に気温が上がる時期を除けば、それほど水切れに心配する必要はありません。
鉢植えの場合でも夏なら1日に1回、冬も2、3日に1回程度で十分です。肥料は生育が始まる前の2月から3月と、花が終わった9月から10月にかけて緩行性の肥料を与えます。施肥は株の周囲に粒状の肥料をばらまいておこないますが、過度に肥料を与える必要はありません。
むしろ与え過ぎに注意する必要があります。キンシバイにはさまざまな園芸品種があり、それぞれの育て方には若干の違いがありますが、基本的には丈夫な植物です。水やりや施肥にそれほど神経質にならなくても問題ないでしょう。
増やし方や害虫について
キンシバイは株分けと挿し木で増やすことができます。株分けをする場合は株を半分ほど掘り上げ、根の付いた株を根ごと親株からはさみで切り離して新しい用土に植えます。挿し木で増やす場合は、新しい枝が堅くなりかける5月から6月の時期におこないます。
枝を10センチほどの長さに切り、蕾を除いて、葉も先端の2、3枚だけ残し、あとはすべて取り除きます。30分から1時間ほど水揚げをし、挿し木用の用土に挿します。挿し木を成功させるためには風の当らない日陰で保管し、水やりをたっぷりおこなうことが大切です。
また病虫害にも比較的強い植物ですが、園芸品種の中にはさび病に侵されやすい品種があります。さび病は葉に白い斑点ができ、やがてそれが盛り上がって褐色になると、表面が裂けて中から赤褐色のさびのような粉末が飛び出す病気です。
症状が進行すると葉全体がこのさび上の粉で覆われ、症状がひどくなると枯死してしまいます。予防のためには殺菌剤の散布が有効ですが、風通しの良い場所で栽培し、窒素過多にならないような注意も必要です。もしこの病気を発症した場合は薬剤を散布しますが、
植物ごとに使える薬剤が異なりますので、薬剤を購入する際は、必ず商品の説明をよく読み、記載されている内容に注意しなければいけません。害虫はそれほど目立った被害が報告されていません。もし樹木に被害を与える一般的な害虫であるアブラムシなどを見かけた場合は、すぐに取り除いてやりましょう。
キンシバイの歴史
初夏から本格的な夏を迎える時期に、黄金色をした花を咲かせるキンシバイは中国原産の半落葉性の低木です。半日陰でも育つ丈夫な性質を持つことから、公園や庭の植木としても広く利用されています。もともと生息地は中国でしたが、すでに江戸時代には日本で栽培されていたようで、
江戸時代に貝原益軒によって記された大和本草にもその名が記されています。キンシバイはオトギリソウ属の植物ですが、このオトギリソウは薬草として使用できることで知られています。同じ仲間であるキンシバイにも同様な効果があるという話があり、
刻んだ枝葉を煎じてお茶の代わりに飲めば、腎臓結石や胆石、膀胱結石に効果があるとされています。もっとも医学的な効果に関してはしっかり確認されているわけではありませんので、素人が医薬用として利用するのは控えなければいけません。近年はキンシバイの人気の高まりと共に、
さまざまな園芸品種も開発されています。似たような形を持つ花も多く、よく本来のキンシバイと混同されることが多いようです。公園などで広く栽培されているのはヒベリカムヒドコートという品種で、タイリンキンシバイという別名からもわかるように花も葉もキンシバイより大型のものをつけます。
またキンシバイそのものは和風の雰囲気がありますが、園芸品種として開発されたものの中には斑模様の葉を持つものもあり、洋風の庭に植えても違和感なく溶け込むので、庭の雰囲気に合わせたものを選ぶことも可能です。
キンシバイの特徴
キンシバイは30センチから1メートルほどに成長します。葉は笹の葉型の対性で、原種のキンシバイには模様はありません。6月から7月の頃に3、4センチの五弁の黄色い花をうつむき加減に咲かせます。キンシバイは漢字で金糸梅と書きますが、この字が表すとおり梅に似た雰囲気で、
長いおしべが金色の糸のように見えます。花が終わると褐色の実をつけ、なかには小さな種が入っていますが、あまりに小さいので肉眼では姿かたちをはっきりと確認することは難しいでしょう。比較的丈夫な性質を持つ植物ですが、あまり寒さが強いところでは育ちにくいようです。
日本では主に東北以南で栽培されています。また半落葉の樹木ですので暖かい場所では常緑ですが、寒い地域では冬が来ると落葉します。園芸品種として広く利用されているタイリンキンシバイは、原種のキンシバイよりも大きな花を咲かせます。
花の大きさは5センチ程度で、生育も旺盛かつ開花時期も長いのが特徴です。キンシバイとヒベリカムカリキナムの交配種であるトリカラーは葉に斑模様があり、成長が遅く樹高も低いのが特徴です。赤みを帯びた斑模様の葉の美しさが洋風の庭に映えますが、
花はそれほどきれいではありません。庭のグラウンドカバーとして利用されることが多いようです。これらの品種は基本的にどれも丈夫であり、それほど手間をかけなくても十分に育ちます。園芸初心者でも比較的簡単に育てることができる植物といえます。
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