コリアンダーの育て方

コリアンダーの育て方/種付け
以上のような他の植物にはない特徴を多く持つコリアンダーですが、栽培の難易度はそれほどでもありません。いくつか注意すべきことに気を付けていれば、さほど問題なく収穫までいたるはずです。最初に種付けですが、種蒔き時期には二つのパターンがあります。
一つは春蒔き、3~5月に蒔くパターンです。もう一つは秋蒔きで、9~10月です。それぞれにメリット・デメリットがあります。コリアンダーはどちらの時期に種を蒔いても6月には花が咲き、トウが立ってさらに枯れてしまいます。
これだけ見ると秋蒔きの方がよさそうですが、冬季は霜対策が必要です。ただ、関東以西では秋蒔きにしたほうが大株に育ち、収穫量も増えますので、基本的には秋蒔きでいいでしょう。種は固いので、蒔く前に事前に処理が必要です。板などでこすると半分に割れるので、一晩水に漬けておきます。こうすると発芽率が上がります。
蒔く場所としては、日当たりの良い場所が適していますが、夏場の直射日光には弱いので、半日蔭となるような場所が適しているでしょう。土は主に水はけの良いものを準備しましょう。プランターなど鉢植えにする場合は赤玉土6:腐葉土4の割合で混ぜた土を使用します。
ぱらぱらと蒔いたら隠れるくらいに土を掛け、水をたっぷりとやります。
発芽温度は摂氏20度前後です。発芽するまでは土が乾かないようにすると良いです。不織布などを被せて水をやるのも良いでしょう。
水やりと肥料、日常の手入れ
順調にいけば、1~2週間程度で発芽します。どちらかと言えば水を好む性質なので、土が乾いたらたっぷり水をあげましょう。特に夏場は乾きやすいのでこまめな水やりが必要です。ただし、暑いときは昼間に水をやると沸騰してしまいますので、朝方か夕方が良いでしょう。梅雨場などは水を控えて調節してください。
春に種蒔きをした場合は、花が咲いて枯れるまでの生育サイクルが短いので、土にあらかじめゆっくりと効くタイプの肥料を混ぜ込んでおけば、追加で肥料を与える必要はありません。秋蒔きの場合は生育期間が長くなるので、追肥として春に即効性の化成肥料を株元に少量施します。
成長に従って元気なものを残して間引きし、本葉4~5枚くらいの頃には1箇所ごと1本にします。順調に伸びてきたら支柱を立てて支えてあげると倒れるのが防げます。また、泥などがついて病気になるのを防ぐために、敷き藁やバークチップを敷くのもよいでしょう。
また、基本的に植え替えの必要はありません。「直根」と呼ばれる太い根が伸びるタイプなので、これが傷つくと枯れてしまうためです。病害虫としては、ヨトウムシによる葉の食害、アブラムシによる被害があります。木酢液をスプレーすることにより撃退できますので、早めに対処しましょう。
また、混植すると比較的アブラムシを寄せ付けなくなります。アニスと混植すると、発芽を促進してくれるようです。土に関しては、上で書いたように水はけの良いものを好みますので、触って確認した結果、固いと感じるようなら、棒などでほぐします。このときも根を傷つけないよう気を付けてください。雑草も害虫の発生、病気の伝播などを引き起こしますので、見つけ次第取り除いてください。
収穫時期と方法、増やし方
収穫は、成長具合に応じて順次行います。葉の収穫は、だいたい20㎝程度に伸びたころが目安です。また、葉の数でもおおよその判断ができます。10枚程度まで葉が増えたら、収穫しても良いでしょう。次に収穫方法ですが、基本的には茎から取らず、葉のみを摘み取ります。
この時、下の葉から順番に切っていくようにすると良いでしょう。また、一気に取っていくと成長が追い付かず、枯れてしまう可能性がありますので、あまり取りすぎないようにすることも大切です。必要な分だけ少しずつ収穫することが、長く収穫するコツです。
葉だけを利用する場合は花芽が出てきたら摘み取ってください。これも長く収穫するために必要な処置です。葉は風味づけ、薬味として利用できます。上でも書いたように独特の香りに好き嫌いは分かれますが、エスニック料理によく合います。
種も収穫し、使用したい場合は花を咲かせ、実をつけさせます。種を採集するタイミングとしては、実が完熟して茶色くなったころが目安です。そうなったら茎ごと摘み取り、風通しのよい日陰の場所で乾燥、追熟させてから種のみを取り、密閉容器に入れることで保存が可能です。このとき、しっかりと乾燥させないとカビが生えてしまう危険があります。
種はそのまま取っておけば再度蒔いて増やすこともできますし、潰して香辛料として使うこともできます。スープ、煮込みやカレーなどによく使われるようです。また、一部タイなどでは、根もスープストックにしたり、潰して調味料にも使われることがあるようです。捨てるところなく使える優秀な食材です。
コリアンダーの歴史
地中海東部原産で、各地で古くから食用とされてきました。その歴史は古く、古代ローマの博物学者プリニウスの博物誌には、最も良い品質のコリアンダーはエジプト産という記述があります。その古代エジプトでは、調理や医療に用いられていたと言われており、すでに紀元前1552年には都市テーベで記されたとされる医薬書にその名前が見られます。
古代ギリシャ、ローマでもよく用いられていた薬草で、当時の著名な医師、ヒポクラテスもよく使っていたと言われています。またエジプトでは、紀元前1000年ごろからコリアンダーと亡骸を一緒に葬る習慣があったようです。その後16世紀になってスペインから南米に伝わり、ペルー、メキシコ料理に欠かせない食材となっています。
また、日本には中国経由で10世紀頃に入ってきていたとされますが、正確な時期は不明で、その頃はそれほど食文化として定着しなかったようです。改めて江戸時代に入りポルトガル経由で入ってきた際には「コエンドロ」という名がつけられました。
しかし、どちらかと言えばタイでの呼び名「パクチー」や中国での「シャンツァイ」が有名です。コリアンダーという名の由来は諸説ありはっきりしませんが、その独特な香りからの由来とされる説が多いようです。
コリアンダーの特徴
エスニック料理には欠かせない1年草のハーブです。地中海東部が原産と言われ、歴史にある通り、世界各地で古くから食用とされてきました。成長すれば高さは25cmほどになり、特徴的な形をした葉、また茎には独特の芳香があります。一方、熟した果実はレモンに似た香りを出します。
生息地としては原産の地中海からもわかるとおり、温暖な気候を好みます。中華料理、タイ料理、インド料理、ベトナム料理、メキシコ料理、ポルトガル料理などに広く用いられ、日本料理にはあまり使われないためあまり流通していませんでしたが、それら各国料理が浸透することで、最近は一部スーパーなどでも売っているようです。
中国や東南アジアでは若葉を薬味として、茎や根を煮込み料理などに使います。唐辛子などの効いた辛い料理の味を引き立て、相性がいいと言われています。ただ一方で、カメムシやドクダミに例えられる芳香は、好き嫌いがはっきり分かれるようです。また種はインドなどでカレーのスパイスとして使われています。
効能、効果としてよく言われるのは、種に抗菌成分が含まれているので食中毒などの予防を、葉はその成分、マンニトール、リナロールなどの揮発性物質が消化を促進し、唾液を分泌させて食欲を増加させると言われます。また、体内に溜まった重金属を排出させるとも言われており、近年特に人気の食材です。
ハーブの育て方など色々な植物の育て方に興味がある方は下記の記事も凄く参考になります♪
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