タチツボスミレの育て方

タチツボスミレの育て方

タチツボスミレに代表されるスミレの歴史は大変古く、日本でも最古の歌集万葉集にスミレが詠まれて登場するというほど、日本人に親しまれてきた花でもあります。和名では紫花地丁と書き、万葉集では須美礼久佐という名前でスミレが登場しています。

タチツボスミレの育てる環境について

タチツボスミレは北海道から琉球列島の野山や山林などさまざまな環境で野生種が見られる、日本の風土に馴染む植物です。ただしよく見てみるとスミレが咲いているのは手入れがされて周辺に背の高い草が生えていない場所だということがわかります。

スミレは日当たりの良い乾燥した土地がなければ咲くことができないので、湿った森林や背の高い草が生えた日当たりの悪い場所では見ることができません。人の手が入った森林や道端、あぜ道など育ちやすい環境でなら自生することができます。

自宅で栽培する場合にはそのような日当たりの良い環境を揃えることが不可欠です。少しでも日当たりが悪いとタネを作って飛ばし、株自体は枯れてしまうので庭で地植えするのには向きません。日当たりを求めて移動できる鉢栽培するのが良いでしょう。

またスミレは夏の直射日光に弱く、直射日光にあたって高温になると枯れてしまうことがあります。そのため夏には半日陰に移動させるために、やはり鉢植えで栽培するのが最適です。地上部が小さいため、想像できませんが実はスミレは地下深くに根を伸ばす植物です。

そのため鉢栽培をする際にもしっかりと深めの鉢を用意して管理するのが良いでしょう。北海道に自生しているものがあることからもわかるように冬の寒さには強く降雪があっても越冬することができますので、鉢のまま屋外で管理して構いません。上手く種まきをすることで株をどんどん更新していつまでも花を楽しむこともできます。

種付けや水やり、肥料について

タチツボスミレはタネをつける植物です。花が終わると種がたくさんなるのでそれを保存しておき、秋に巻くことで新しい株を作り続けることができます。タネを採取するにはペーパータイプの茶こしなどを花が咲き終わるまでに被せて採取するのが便利です。

ただしスミレを栽培するのであれば、はじめはナーサリーが育てた株を購入するのが確実です。株に力があるので地植えしても花を楽しめますし、そのまま鉢植えとして管理することもできます。その株につけた種を採取して同じ種類の株を増やしていくことで庭植えをすることもできるようになります。

庭植えをすれば勝手に種が飛んで増えていきますので、日当たりや水はけなどの環境が整えば庭のいたるところにスミレの花を咲かせることができます。タチツボスミレはスミレは野生種も多くありますので、基本的に他の園芸種の植物に比べて肥料を必要としない植物です。

ただし育て方の上で鉢植えをする際には肥料を与えておくことで株を長く楽しむことができます。元肥として花を咲かせる栄養となるリン酸、カリウムが多めの緩行性肥料を与えます。3合鉢に二つまみ程度で良いでしょう。その後春から秋までの株が充実する時期に、

月2回程度リン酸やカリウムが多めの液体肥料を希釈して与えます。これは鉢植えの場合の肥料やりで庭植えの場合にはほとんど必要ありませんが、庭植えの場合に肥料をやるときには秋にリン酸とカリウムが多めな緩行性肥料を株元にばら撒きましょう。

増やし方や害虫について

タチツボスミレはいくつかの増やし方がありますが、もっとも広く行われているのが種まきです。花のあとたくさんの種がなるので、紙袋などを利用して種を採取して、9月頃に撒くことでたくさんの株を作ることができます。種は乾燥させずに管理するのがコツで、

一度低温にすると発芽しやすくなるので、冷蔵庫で管理すると楽に発芽させることができます。庭植えの場合には、そのまま種が熟して飛ぶに任せていると、環境が合えば自然に庭にスミレが増えていきます。また挿し芽で増やすこともできます。

花が終わった時期の勢いのある茎をカッターで切り取り、湿らせた鹿沼土などの床に挿しておくことで発根して株を作ることができます。また大きくなりすぎた株は自然に分かれるところで二つに切り取れば、株分けをすることもできます。このように種まき、挿し芽、

株分けでタチツボスミレを増やしていくことができます。タチツボスミレがかかりやすい病気には白い粉を吹いたように見えるうどんこ病があります。これはカビの一種で濃い緑の葉が白ちゃけて見えるため美しさを損ねてしまいます。同じくすみれがかかりやすい病気にそうか病があります。

かさぶたのような白いものができ、茎がもろくなって折れてしまうこともあるので注意が必要です。またアブラムシもスミレを好むため注意が必要です。抗菌殺虫効果があるオルトランを株元に撒いたり、スプレー式の殺菌殺虫剤を定期的に使用することで予防することができます。

タチツボスミレの歴史

タチツボスミレに代表されるスミレの歴史は大変古く、日本でも最古の歌集万葉集にスミレが詠まれて登場するというほど、日本人に親しまれてきた花でもあります。和名では紫花地丁と書き、万葉集では須美礼久佐という名前でスミレが登場しています。

もともと大工さんが使う道具の一つ、墨入れにその花の形が似ていたことからスミレという名前が付いたと考えられています。野に咲く花の代表としてその可憐さから日本だけでなく世界でも古くから親しまれてきました。ワーズワースもスミレを詩に織り込んで数多く詠んでいます。

またフランスの英雄ナポレオンの妻、ジョセフィーヌはバラの品種改良を進めた功労者として知られていますが、実は大のスミレ好きでナポレオンは妻の誕生日には必ずスミレの花束を贈ったと言われています。また、戦いに敗れ島流しになる際にも

「スミレの花が咲く頃には戻ってくる」と言い残したという言い伝えがあります。それほどヨーロッパでもスミレは広く愛された花でした。現在はニオイスミレや三色スミレなどさまざまな品種が交配され、園芸種として広く作られて流通されています。

世界には400種のすみれがあるとされていますが、日本にはその中でも50種類が生息しているスミレ大国でもあります。特に日当たりのいい春の野原や手入れされたあぜ道などに花を咲かせるので、人々の目に付きやすいというところから歴史的にも古くから親しまれたと考えられます。

タチツボスミレの特徴

タチツボスミレは日本原産の植物で生息地は日本全土に広くわたっています。ほぼ全土の平地から低地に見られ、日当たりの良い草原や道端、森林などに多く見られる広く親しまれている多年草です。ひと株から数本の茎を伸ばして咲きますが花を咲かせる時期にはまだ茎が短く直接花が付いているように見えることもあります。

茎は次第に伸びていき、最終的には茎丈20センチメートルほどになることがあります。葉はハート型の可憐な形で花は直径1センチメートルほどの小さな花径で茎の両側に付き、薄紫をしています。ただし、花の色には変異も多く白や薄いピンク、白と紫のコンビネーション、濃い紫などさまざまなカラーバリエーションがあります。

香りがあるニオイタチツボスミレ、花がやや細くなるナガバタチツボスミレ、葉が厚くて照りがあるテリハタチツボスミレなどがあります。タチツボスミレは他のスミレに比べても地下茎がやや短いのが特徴で、古くなってくると柔らかい茎も木質化することがあります。葉には葉脈などで柄が付いており、葉の鑑賞を楽しむ方がいるほど美しいものです。

花期は3月から5月、先端がうつむいて咲くその可憐さが人気を集めています。花期が終わると茎が伸び始め葉が茂り日光を浴びて栄養を蓄えます。年はこさないので冬になると地上部は枯れ、春になると再び地下茎から芽を出します。北海道から沖縄まで日本の広い地域にわたって見られる親しみやすい品種です。

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