タイムの育て方について

タイムの種まき
タイムの育て方には種を蒔いて育てる方法と、市販の苗を購入して植えつけて育てる方法があります。どちらにするかは、栽培に適したスペースの広さを考えてから決めましょう。栽培できる面積が少ない場合は、種からたくさんの芽を育てても置き場所に困ることになりますので、苗を購入するほうが後で悩まずに済みます。
春か秋にホームセンターや園芸店、種苗会社から種を購入して、園芸用の小型のビニールポットなどにバーミキュライトや市販の種まき用の土を入れ、よく湿らせてから蒔きます。タイムの種はとても小さいので、鉢の中央付近で、一箇所にあまり偏らないように気をつけて蒔きます。蒔いた後、上から土を被せることはしません。
種を蒔き終わったら、あまり寒くない日陰に置き、発芽するまでは霧吹きなどで土の表面が乾かないように保ちます。発芽したら、日当たりの良いところに移します。本葉が出たら、なるべく中央にある一番大きなものを残して、他の芽は間引きます。
もったいない気もしますが、このときたくさんの芽を残しておくと、やがて根が絡み合って定植のときに分けることができなくなり、それぞれが養分を奪い合ってしっかりした苗に育てることができなくなってしまいます。心を鬼にして、思い切って間引いてしまいましょう。
本葉は2枚1組で生えますが、5~6組まで伸びたら根が切れないように気をつけてポットから取り出して、ハーブ用の土や底に鉢底石を敷いて、赤玉土か鹿沼土、腐葉土、パーライトを4:3:3くらいの割合で混ぜた水はけの良い土に定植します。
市販の苗の場合は5月頃に購入して、種からの場合と同じようにハーブ用の土や水はけの良い土に植えつけます。また、タイムは多年生のハーブですが、種付けして種まきして増やすのも楽しいものです。
タイムの育て方
タイムの育て方は、ハーブの中ではさほど難しくありません。栽培は、室内より屋外の方が向いています。タイムの栽培は日当たりが適していますが、季節によって置き場所を変える方が安心です。夏場はあまり長時間日に当たっていると鉢土が高温になって枯れてしまいますので、朝日が当たる程度の場所に移します。
逆に冬場はなるべく暖かい場所に置きます。また、蒸れや極端な乾燥も株を弱らせるので、ベランダ園芸などでは空気が滞ったり、風があまりよく吹き抜けすぎるところは避けます。水遣りは鉢底から水が流れ出るまで遣ります。鉢受け皿の水は必ず流して、流れ出た水を溜めておかないようにしましょう。
初夏から秋口までは日中に水遣りをすると蒸れて枯れやすいので、夕方か早朝にします。鉢土の表面が乾いたら行いましょう。それ以外の季節は、鉢土の表面だけが乾いていても、鉢の中の下の方はまだ十分湿っている場合があり、この状態で水遣りをすると根腐れを起こす可能性がありますが、うっかり鉢底までカラカラにしてしまっても枯死しますので、慣れるまでは慎重に行いましょう。
鉢を置いている場所の環境は一軒一軒違いますし、広いスペースにたくさんの鉢を置いている場合などは左端と右端の鉢で乾き具合が違ったりします。また、天気によっても違ってきますので、「水遣りは何日に1回」と決め付けないで、鉢の状態をよく観察して行いましょう。
肥料は植物用の粒状の肥料を鉢土の上に置きますが、書いてあるより少なめにした方がひょろ長くならずにガッチリした株に仕上がります。夏と寒くなってきてからは肥料は与えません。定植した苗が伸びてきて、茎をゆるく曲げても大丈夫なくらいの長さまで育ったら、鉢土の上に無理のない形で寝かせます。そしてところどころの脇芽の付け根に土を被せておきます。
浮き上がってしまうようでしたら、細い針金などをUの字に曲げて脇芽のない茎の部分に土から浮き上がらないように刺して固定します。水遣りのときも脇芽の付け根から土が流れてしまわないように気をつけましょう。しばらくこの状態を保っていると、やがて根が出てきます。
この根が出たそれぞれの脇芽がしっかり伸びていくと、さらにそれぞれにいくつかの脇芽がついて株が増えます。タイムの育て方のコツは、この脇芽が伸びてきたら先端だけを摘んでさらに脇芽を伸ばすことを何回か繰り返して、こんもりした株に育てることです。
タイムの種付け
タイムは丈夫なハーブですが、日本では冬の間に枯れてしまう場合もありますので、種付けも行ってみましょう。栽培しているうちに、自然に花が咲きます。そのままにしておいてもよいのですが、確実に種付けするためには、細めの筆や化粧用の筆を使って花の表面をそっと撫でてあげ、受粉させましょう。
種付け作業後は、種を包む殻が十分茶色くなるまで待ちますが、殻が弾けて、種が土の上に落ちてしまわないうちに収穫しましょう。たくさん花を咲かせますので、1回や2回失敗して種が落ちてしまっても大丈夫です。収穫のタイミングを覚えましょう。
タイムの歴史
タイムはインド、北アフリカ、アジアを原産とするシソ科のハーブで、たくさんの品種があります。主に料理用に使われるコモンタイムは、地中海沿岸原産です。古代エジプトでは、死体に防腐処理を施してミイラにするときに使用されていました。古代ギリシャでは、その清々しく力強いシャープな香りが男らしさの象徴として捉えられていました。
ヨーロッパにペストが流行したとき、道端に転がったペストによる死者から金品を奪う泥棒たちがいました。捕らえられてみると、彼らはペストに感染せずに犯行を繰り返していたことが分かりました。取調べによって、泥棒たちは死体に近づく前にタイムを束ねたもので全身をはたいていたことが分かりました。
タイムの芳香に含まれる強い殺菌成分を身体に移すことで感染を防いでいたのです。それから、タイムは伝染病除けに使われるようになりました。日本でも明治の末期にコレラが流行したときに、防臭木という和名でコレラ感染予防に使われました。また、ハンセン病の治療にも用いられました。
タイムの特徴
タイムは現在では数百種の栽培種があり、生息地はアメリカ、日本、ヨーロッパなど、温暖な気候の地域のいたるところにあります。主にスパイスとしての料理用、ハーブ用、園芸用、蜂蜜用に栽培されており、いずれも強い芳香が特徴です。一見、つる草のように見えますが、株元は木質化しており、小低木です。
料理用としては肉や魚の臭み消し、スープやシチューに香りをつけるブーケガルニなどに用いられます。また、防腐成分を利用して、肉類などの保存食に利用されたりもします。風邪や疲労回復、利尿用にハーブティーとしても利用されます。
また、花・茎・葉に含まれる成分としてモノテルペンアルコール類、モノテルペン炭化水素類、エステル類、チモール、リナロール、フェノール類、酸化物類、ケトン類などが品種によって異なる割合で含まれています。
これらはメディカルハーブとして主に強壮作用、抗菌作用、抗真菌作用、抗ウイルス作用、免疫増強作用、駆虫作用、消化促進作用、神経安定作用、鎮痛作用のために利用されます。
特に風邪、気管支炎、中耳炎、鼻炎、副鼻腔炎、歯周病、歯槽膿漏、感染症、皮膚炎、ヘルペス、関節炎、神経痛、リウマチ、カンジダ症、駆虫、慢性疲労、病後の衰弱などに用いられます。園芸用としては、匍匐性の種類を地面を覆うグラウンドカバーなどとして利用します。
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