ヤマブキの育て方

ヤマブキの育て方

春の花が咲き終わる頃になると、濃い黄色の小花をたくさん咲かせ、自然な樹形を保ちやすく、和風な作りの庭などにもよく利用されます。海外では日本の薔薇とも呼ばれることがあり、この花色から名づけられた山吹色は黄金色と表現するのにふさわしい鮮やかな黄色をしています。

ヤマブキの育て方

日本から中国に分布する落葉性の低木で、バラ科ヤマブキ属はヤマブキ1種だけです。一般家庭の庭や公園などに植えられているものも含めて、日本全国のいたるところが生息地です。ヤマブキは根元から勢いよく生えてくる新しい梢に花をつけるので、冬の間に枝が混み合わないように間引いてすっきりとさせるように剪定します。

古い枝や枯れてしまった枝、弱い枝などは付け根の部分から刈取り、伸びすぎた枝はほかの枝と枝分かれしている部分から切るようにします。花が咲いた後すぐの5月ごろになればかなり短く剪定しても次の年にはちゃんと花が咲くので安心です。

花が咲いた後の選定時期の限界は6月の下旬ごろで、この時期を過ぎてから剪定すると、次の花が咲かないことがあるので剪定時期には注意が必要です。株が大きくなってくると枝の数も増えてくるため、枝が混みすぎないように枝の数を減らすようにするのがおすすめです。

4年から5年ほど経過して株が大きくなったものを5月の下旬ころに古株を10センチから20センチメートルくらいの高さで刈り込むことで、株を若返らせることができます。また、冬には枝の付け根化枝の分岐点の上で切るのがコツで、枝の途中で切ったり、一律に刈り込んだりすると自然の樹形を損なったり、

枝枯れを起こしてしまうこともあるので要注意です。その年に伸びた枝の葉の付け根の部分に芽ができ、7月中旬から8月上旬ごろに花芽に変わります。この時期に芽が充実していないと花芽にならないために6月の中旬ごろまでに選定を済ませておく必要があるものです。

あまり日差しの強すぎる場所ではなく、一日数時間日が当たれば十分に育つので、午前中いっぱいは日が当たって午後には日陰になるような場所の方が適しています。乾燥に弱く、真夏の直射日光のあたるような場所では土がすぐに乾いて根付く前に枯れてしまうこともあります。

寒さには強く、霜にあたっても枯れる心配はないので、冬場でも特に防寒対策は不要で、氷点下になっても大丈夫です。自然に自生するときには湿度の比較的高い沢沿いなどを好むので、強い乾燥は苦手です。春から秋にかけての時期には土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるようにし、

冬は落葉して成長も鈍くなるので、水やりの回数を控えめにして栽培する方法が適しています。地植えにして適度な湿気のある場所ならば、一旦根付けば特に水やりなどの必要もありません。

ヤマブキの植え付けと増やし方

有機質に富んだ土を好むので、赤土と腐葉土を混ぜた土を使用します。地植えにする際には腐葉土化堆肥をたっぷりと混ぜ込むようにして、乾燥せず、多少湿り気のある土壌の方がよく育ちます。最初に小さな鉢植えで少しずつ大きくしていく栽培方法の場合は、鉢金でいっぱいになったら一回り大きなサイズの鉢に植え替えます。

植え付けに適しているのは落葉期で、寒さの厳しい時期に行うのは避けるようにします。植穴は浅く広く掘ってあまり深植えにならないようにし、植え付けを行った直後には水をたっぷりと与えて乾かさないように、根元を腐葉土で覆ってやるようにします。ポット苗は根鉢を一回り崩してから、根巻き苗は大きめの穴を掘ってそのまま植え付けるようにします。

ヤマブキの殖やし方は、種付けではなく株分けや挿し木で増やすことができます。株分けするときには地下の茎から芽が伸びてくるので、枝5本ずつ程度に切り離してそれを植えるようにします。株分けで増やすタイミングは、植え替えと同時に行うのがおすすめです。

挿し木で増やす場合には、新しい枝を先端から10センチメートルほどに切って一時間ほど水揚げをしてから切り口の部分に植物成長調整剤を薄く付け、挿し木用土や湿り気のある赤玉土にさしてやると根が出てきます。その後たっぷりと水やりを行い、日陰において管理するようにすれば、秋には発根するので鉢上げをして管理し、翌春に定植してやるようにします。

ヤマブキの枝は寿命が短く、次々と新しい枝を伸ばして株を大きくしていきます。花はその年に伸びた枝にしかつかないので、古い枝からは新しい枝が出にくくなるため、落葉期には枯れ枝や古枝を基部から切って取り除いておく必要があるものです。

ヤマブキの病害虫対策

ヤマブキは丈夫で育てやすく、病害虫はほとんど見られないのですが、枝に泡のようなものが付くことがあります。この泡の正体はシロオビアワフキの幼虫が汁を吸っているためで、株が枯れてしまう心配はありませんが、気になるときには泡が付いた枝は取り除いてしまうようにします。

またときにハダニ類が発生することがあるので、殺ダニ剤を使用して駆除するようにします。また、ごくまれにテッポウムシが付くことがありますが、枝元の部分に木屑と穴を見つけたら、すぐに木くずを取り除いてやり、アナの中に殺虫剤を入れるようにします。ただし、株立ち上の樹形で、何本も茎がたっているので、あまり神経質にならなくても大丈夫です。

ヤマブキの歴史

春の花が咲き終わる頃になると、濃い黄色の小花をたくさん咲かせ、自然な樹形を保ちやすく、和風な作りの庭などにもよく利用されます。海外では日本の薔薇とも呼ばれることがあり、この花色から名づけられた山吹色は黄金色と表現するのにふさわしい鮮やかな黄色をしています。

ヤマブキは、可愛らしい花を観賞するためだけでなく、乾燥した葉や花びらなどは漢方薬として痔疾や虫刺されなどに広く利用され栽培されてきた歴史があります。江戸時代の薬草に関連した著書の中で、ヤマブキの園芸品種が数多く紹介されています。万葉集などにも多く読まれていますが、実際には実が付かないのではなく、基本種には立派に実が付き、花はもともと葉が変化してできたものです。

ヤマブキの特徴

ヤマブキ色という色があるように、鮮やかな黄色い花としなやかな枝ぶりが野の趣を感じさせる可憐な花です。自然の樹形を保ちやすいのびのびとした広い場所で育てるのが理想です。おしべやめしべが花弁に変化して、一重のものが八重になります。

日本原産のヤマブキはその多くが八重咲種であったために実をつけないと言われるようになりましたが、基本種には立派に実が付きます。現在残っている品種は、八重、斑入り、白花、菊咲きの4品種で、その中でも菊咲きは今ではほとんど見ることが亡くなった品種です。

よく一般家庭でも栽培されている白ヤマブキヤマブキの一種だと思われているようですが、実はヤマブキとは関係のない種です。近年は葉の黄色い種類や斑入りの新品種などが紹介されています。ヤマブキの原産地は北海道南部から九州、そして中国と幅広いエリアが生息地で、日当たりも日なたから半日陰と、生育できる環境に幅があります。

肥沃で湿度の高い土地を好みますが、庭木の中では栽培しやすく、手がかからない種の一つだと言えます。樹形は自然にまとまってくるので、特に無理に枝を切る必要はありません。植えてからおよそ5年程度で古い枝は勢いも弱まってくるので、そのようになったら、根元から10センチメートルほど残して切り落としてやり、

若い枝の生長を促すようにしてやります。この間引き剪定が基本で、そのほかは混み合った部分の小枝や枯れてしまった枝を刈りこんでやる程度にして、全体を今日剪定でバッサリと刈り込んでしまわないようにします。山の中に自生するときには木漏れ日が差すような場所に生息していることが多いため、あまり日差しの強い場所は好みません。

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