キャッサバ(マニホット)の育て方
育てる環境について
キャッサバの生息地は主に熱帯地域となっていますから、日当たりがよく水はけが良い土地を好みます。植物として非常に頑丈な性質を有していますから半日陰においても生育はしますが、日照量が少ないとキャッサバの特徴的な緑色の葉の色がうまく付かなくなってしまいます。
特に観賞用のキャッサバに日照量が少なくなってしまうと葉のツヤが失われてしまったり、色のコントラストがはっきりしなくなってしまうこともあります。もしそうなってしまうと観葉植物としては寂しいものになってしまいますから、なるべく日向において育てるようにすると良いでしょう。
日本国内であっても暖かい地域であれば庭で育てることができますが、東北以北の豪雪地帯になると庭植えで生育を続けるのは困難です。キャッサバは耐暑性には非常に優れていますが、耐寒性についてはさほど優れていません。そのためそうした地域で越冬させるのであれば鉢植えで育て、
冬の間は常に室内の日当たりが良く、暖かい場所で管理するようにしなくてはなりません。土に関しては水はけのよい土が最適となりますから、小粒赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜた土を使うようにしましょう。
ホームセンターで販売されているような培養土を使うのであっても問題はありませんから、そうした土を購入するのも良い方法です。ただし6号鉢以上の鉢に植える際には中粒の赤玉土に切り替えて育てた方が良いので、この点には注意が必要です。
種付けや水やり、肥料について
植え付けの時期としては5~7月ごろが最も適しています。また新しく植え付けをするわけではないという場合であっても、鉢植えで育てている場合には1~2年ごとに植え替えを行った方が良いでしょう。これはどうしてかというと、キャッサバは根の発育が良いため、
何年間も放置していると根詰まりを起こしてしまうことがあるからです。根詰まりを起こしてしまうといかに頑丈なキャッサバであっても枯死の危険性が高くなってしまいますから、必ず植え替えを行うようにしてください。次に水やりについてですが、
これは土の表面が乾いた時に水をやるようにすれば問題ありません。ただ一般的な観葉植物のようにたっぷりと水を上げるのではなく、それよりもやや少なめであげるだけで構いません。むしろ多量の水を嫌う性質がありますから、より大きく生育させようとしてあげた水が逆効果になってしまうこともあり得ます。
冬季は生育がやや緩やかになり水をあまり必要としなくなりますから、夏場よりもやや少なめ、乾燥気味を心掛けてやるようにしましょう。続いて肥料に関してですが、これはよく生育させたいのであればそれだけ多めに肥料を上げた方が良いです。
特に5月から10月は生育期として効率的に成長していきますから、チッ素、リン酸、カリの三要素等量の肥料を規定量の半分ほどの量であげるようにしてください。ある程度であれば肥料が少なくとも問題なく育ってくれますが、観賞用として色づきを良くするのであれば生育期の肥料は必要です。
増やし方や害虫について
植え付けと同様に5~7月ごろに挿し木をすることで簡単に増やすことができます。生育したキャッサバの枝を8~10センチほど切り取り、バーミキュライトや赤玉土などの用土に挿して待つだけで増えていきます。耐寒性は弱いために鉢植えで育てるのがベストではあるのですが、
ある程度環境の整った地域であれば庭の土に挿しておくだけでも増やせることができますので、そうした地域であれば毎年増やしていくことも十分可能でしょう。次に害虫に関してですが、まず注意したいのがオンシツコナジラミです。オンシツコナジラミは葉の裏について植物の汁を吸って生育を妨げますから、
こまめに葉の裏を確認して虫害が発生していないかどうかを確認しなくてはなりません。大量に発生してしまった場合には葉の裏に白い斑点のようなものが見えてくることもありますから、そうした状態になってしまっているのであれば即座に対応をしなくてはならないでしょう。
オンシツコナジラミは成長・繁殖が非常に早く、1週間で次の世代が生まれてきます。殺虫剤による防除が最も効果的ではありますが薬害によって葉が枯れてしまうこともありますから、生育が旺盛な夏場であればオンシツコナジラミが発生している葉を全て切り取って処分し、
新芽を出させて再生するという方法で対処することも考えるべきでしょう。また風通しが悪い場所や暗い場所だとカイガラムシが発生することもありますが、これはキャッサバを置いておく環境に注意すれば予防が可能です。もしカイガラムシが発生してしまった場合にはやはり薬剤で防除するようにして下さい。
キャッサバ(マニホット)の歴史
キャッサバ(マニホット)はブラジル南部からパラグアイの辺りを原産地とする植物であり、茎の根元に付く芋は良質な食料となるためにかつてから現在に至るまで重要な食料として扱われています。現在栽培されているキャッサバは商品作物として様々な形で改良がくわえられたものですが、
その原型となるキャッサバは中央ブラジル西部で1万年前以上に栽培が開始されていたとみられています。ただ本来の野生種は既に失われており、現存するキャッサバは全て人為的に作られた栽培種をルーツとしていますので、厳密な意味で言えば現在のキャッサバと、
1万年前のキャッサバは別のものであるということには注意が必要です。現存する最も古い証拠としてはエルサルバドルにある古代マヤの遺跡ですが、この遺跡は1400年前に作られたものであると推定されていますから、キャッサバと人類の関係は非常に古くから続くものであるとして考えることができます。
15世紀末期までには南アメリカ北部や中央アメリカ、西インド諸島などで広く栽培がおこなわれるようになっており、スペイン人とポルトガル人による植民地化がされたあとも育て方が容易であり効率よく栽培ができると言うことから栽培が継続することになりました。
もちろん現代でも栽培は続けられておりブラジル人の重要な食材として認められているほか、根茎から製造したでんぷんを加工したタピオカは全世界で愛されるトッピングとして扱われるようになっています。
キャッサバ(マニホット)の特徴
キャッサバの特徴はまず、食用作物として非常に優れていると言うところが挙げられます。作付け面積当たりのカロリー生産量はコメや小麦といったような一般的な食品作物と比べても優れていますから、限られた土地であっても十分な食料供給ができると言う特徴があります。
加えて農作物としてはある種異常なほど地質を選ばずに生育することができ、乾燥地帯であろうとも酸性土壌であろうともよく育ちます。そのため今後世界の人口が増加していくにあたって、コメや小麦と同様に重要な就職になりうるのではないかとして期待が寄せられているのです。
またキャッサバは基本的に食用の植物として扱われていますが、バリエガタと呼ばれる品種などは葉に美しい模様が描かれているため、観葉植物としても栽培されています。深い緑色と黄色のコントラストは南国の空気を感じさせるには十分な美しさを有していますから人気があるのですが、
「食用としても使われているから」といって自宅でキャッサバを栽培し、食用にするには問題があります。というのも、キャッサバは様々な品種が作られていて食用品種にも様々な種類があり、かつ根茎には毒を持っているのです。全ての品種に食べられないほどの毒があるわけではありませんが、
少なくとも観賞用品種の毒性については安全が保障されているわけではありませんし、毒抜きも全く知識が無い状態で行うのは危険が伴います。観賞用植物はあくまでも観賞用植物として割り切り、食品としてのキャッサバが欲しい場合には食用として加工されたものを購入するようにしてください。
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キャッサバ(マニホット)はブラジル南部からパラグアイの辺りを原産地とする植物であり、茎の根元に付く芋は良質な食料となるためにかつてから現在に至るまで重要な食料として扱われています。