クリナムの育て方
クリナムの育てる環境について
クリナムは日当たりの良いところで良く育ちます。しっかり日が当たる場所での露地植えや鉢植えに適しています。水はけが良く、しっかり日に当たる場所であれば特に土質は選びません。植物としてはとても強いので育て方も難しくなく、比較的育てやすいといえます。
良い香りがするので、庭先や玄関先に植えるのもおすすめです。耐寒性は弱い方ですが、種によって耐えられる寒さが異なってきます。寒さに弱い種だと最低温度が5度、比較的強い種だと最低温度がマイナス2度以上が越冬温度となります。
露地植えにする場合などは、この越冬温度を考慮して種を選ぶことが必要です。寒さに強い耐寒性種は関東地方以西の暖かい地域なら戸外でも十分に越冬することができます。寒さに弱い非耐寒性種は鉢植えにして、冬は室内や風が当たらない場所に置いてあげることが必要です。
霜に当たると葉が枯れて休眠します。葉が枯れても、春になって暖かくなったらまた新芽を吹いてくれます。球根が地上に出ている場合には、凍結に気を付ける必要があります。簡単な霜よけを行ったり掘り上げたりすることで霜の害から守ることもできます。
地面から出ている球根の頭の部分に土やワラを厚めにかぶせて、しっかり防寒を行いましょう。多少の手間は掛かりますが、冬に葉を残すように管理しておくと、次の年の春の生育では最初から良く育ち、花もより美しく咲いてくれます。暑さには強い植物なので、夏場に花を咲かせ涼しさを感じさせてくれます。
クリナムの種付けや水やり、肥料について
球根の植え付けは、十分に気温が上がる4月以降に行います。クリナムの開花時期は、どの種もだいたい6月~9月頃、初夏から秋に掛けてです。春から秋に掛けての生育期は水はたっぷり与えましょう。土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えて、乾燥を避けましょう。
花の時期が終わった後は水やりを控えます。冬になって葉が完全に枯れて休眠状態になったら、春に暖かくなって新芽の季節になるまで水やりを止めましょう・生育期に月1回ほど液体肥料を与える、もしくは年に2回新芽の時期と花の終わりの時期に固形肥料を与えます。
ただ、植物自体がとても強い種なので、肥料をたくさん与えるよりも、土にこだわった方がよく育ってくれます。腐葉土などの有機質に富んだ肥沃な土壌を好みます。水をたっぷり与えるので、水はけが良いことも必須です。用土を作る際には、赤玉土を7、腐葉土を3の割合で混ぜ合わせましょう。
その際に、クリナムを植える前の土に、肥料成分が長期間に渡って溶け出す分効果が長く続く緩効性肥料を施して土を肥やしてあげましょう。大型の球根植物なので鉢植えにする場合は、大きめの鉢に1球植えとします。庭に植える場合には、40~60cmの間隔を開けて植えてください。
また、植える際には球根の頭の部分が地上に出るぐらいの深さに浅植えします。目安としては、鉢植えの場合は球根の三分の二、庭植えの場合は半分~三分の一ほど、球根の頭が出るように植え付けます。
クリナムの増やし方や害虫について
株分けや種まきで増やしていきます。株が大きくなってきたら、掘り上げた球根を分けてそれぞれを植え付けます。植えた株の下側に小株がたくさんつき、徐々に育っていきます。そうやって株が込んできたら株分けしましょう。目安としては、4~5年に1回植えかえるくらいです。
掘り上げの時期ですが、真夏と真冬は環境が厳しいので、クリナムに限らず掘り上げ自体を行わないのが普通です。クリナムの場合は、4月頃が適しています。球根や根に傷を付けないように、慎重に丁寧に作業を行ってください。種まきを行う場合は、花の後にできた実が熟して茶色くなった頃に種を取り出します。
種は取り出したらすぐに蒔きましょう。根が地面から出てしまうと深くまで根が潜ってくれないので、球根とは違って土を掛けて種を隠してください。種を取らない場合は、栄養分が取られてしまわないように、花の終わった花茎は付け根から切り落としておきましょう。
クリナムがかかりやすい病気や害虫としては、蛾の幼虫であるイモムシの一種であるハマオモトヨトウ、ウイルス病が見られます。ハマオモトヨトウは非常に食欲旺盛な害虫で、葉だけでなく花茎、球根など、被害は広範囲に及びます。殺虫剤で予防するか、見つけ次第薬剤を散布して駆除しましょう。
ハマオモトヨトウは株を食べ尽くしてしまうので、根や葉から吸収して、株全体に薬の成分が行きわたるような殺虫剤を選んでください。ウイルス病は、害虫が持ち込む病気です。葉にかすり模様ような斑点ができたり、茎や花の形に変化が見られます。ウイルス病は治らない上、他にも伝染するので、罹病し合際には早めに処分するか隔離してください。
クリナムの歴史
クリナムとは世界の熱帯・亜熱帯に分布する大型球根植物です。その種類は約160種にも上り、大半の種はアフリカに分布しています。日本では西日本の海岸を中心にハマユウという種が自生しています。ハマユウの正式な和名はハマオモトと言い、浜万年青と書きます。
ハマユウは浜木綿と書き、語源は、葉鞘や花びらが木綿に似ているところからなどと諸説あります。その歴史は古く、日本でハマユウの記録が初めて登場するのが万葉集です。日本でもっとも古い歌集ですでに「浜木綿」として読まれていることから、古くから馴染みのある植物であったといえるでしょう。
また、万葉集で詠まれた際は、自生しているハマユウでしたが、園芸的に栽培されるようになった時期ははっきりしていません。江戸時代の園芸家が1681年に刊行した、花の形状や栽培方法を記述した花壇綱目に載っていることから、江戸時代には栽培されていたと考えられています。
同じくクリナムの種類であるインドハマユウは、インド原産の植物です。ハマユウに次いでよく栽培されている種類ですが、こちらはインドから日本に昭和初期頃に渡来しました。その他によく栽培されている種として、南アフリカ原産のムーレイがあります。
こちらも、インドハマユウと同じく、昭和初期に渡来したと言われています。その他にも多くの園芸品種や雑種が知られています。2種を掛け合わせてできた交雑種などもあり、これからも多くの種類が増えていくことでしょう。
クリナムの特徴
クリナムはヒガンバナ科の植物です。二年以上にわたって生存する多年生植物で、球根から育ち、大きく美しい花を付けます。葉は表面に光沢がある細長い帯状で、剣のように先端が少し尖っています。色は薄い緑から緑色をしており、根元から出て、60~90cmほどの長さになります。
葉とは別に太い花茎を50cm~1mほど伸ばし、その先端に大きく美しい花を咲かせます。散形花序と呼ばれる花のつき方をしています。散形花序とは、茎の先から多くの花茎が出て、そのそれぞれの先にひとつずつ花が咲く形のことです。花が集まって見えるので、花が咲くととても華やかな印象です。
花びらは基本としては6枚あり、付け根の部分でくっついています。花色は白やピンクで、夜間に芳香を放ちます。クリナムの語源は、ギリシャ語でユリを意味するクリノンという言葉からきています。花の姿がユリに似ていることにちなんでいます。
ハマユウの花弁は細長く、分類されている科のヒガンバナの印象の方が近いかもしれませんが、インドハマユウの花姿はとてもユリによく似ています。分類体系としてはユリ科とされることもあるようです。花の後には直径約2cmほどの実を付け、
その中には種が含まれます。この種子はコルク質の皮で覆われていて水に浮きます。海流や水流に乗るなど、水との相性が良い性質を持っているので、海岸部や川や湖などの水のそばを多く生息地しているのではないかと考えられています。
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