皇帝ダリアの育て方

皇帝ダリアの育てる環境について
皇帝ダリアは、生育期には日当たりの良い場所で育てます。鉢の場合は、日当たりのよい場所に移動させるなどします。庭などに地植えする場合は、日当たりと水はけの良い場所を選んで植えてください。皇帝ダリアは、短日植物のため昼の時間が短くならないと花芽が付きません。
そのため、夜は街灯などが当たらないような場所であるなど、人工的な明るさに注意します。夜はそういったもののない暗くなる場所に植えるようにします。また高くなる性質のため、強風などで倒れないように必ず支柱を立てるようにしてください。
皇帝ダリアの欠点ともいえるのが寒さに弱いところです。暖かいところが原産地のため、霜や寒波にあってしまうとすぐに枯れてしまいます。10月ごろに蕾をつけ、11月くらいに大きな花を咲かせるので地域によっては、花期の途中で枯れてしまうことがあるかもしれません。
冬越しできない多年草ですので、来年も花を咲かせるためには管理が必要です。鉢栽培であれば、冬場には鉢ごとは地中に埋めてしまうか、暖房のきいていない部屋に置くなどして凍らせないようにします。地植えでは、花後か霜が降りる前に剪定用のノコギリで、地面から5cmぐらいのところを切ります。
切り口にワラや枯れ葉などでマルチングして冬越しさせるようにします。こうして春までやっておけば、冬越しをして節から新芽が伸びてきます。もし寒冷地などの寒い地域であれば、安全策として土から根を掘り上げて室内で冬越しさせてあげるのもよいです。
種付けや水やり、肥料について
新芽が発生する前の3月から新芽がまだ小さい5月に球根(塊根)を植えつけます。植え替えの適期は3月で鉢に根が詰まってきたら、一回り大きな鉢に植え替えるようにしてください。皇帝ダリアの水やりは、庭植えなどでは降ってくる雨の水だけで十分です。
鉢植えでは、春から秋の生育期間中、用土の表面が乾いてきたらたっぷりと与え、水切れには注意します。もともと水が好きな性質なので夏場の日照りといったときには、朝夕としっかりと水を与えてください。ですが、いつも湿っているといった感じになると、
根腐れしてしまうので土の表面を触って乾いていたらあげるといったように管理します。また、冬場といったときには乾かし気味に管理し、完全に乾かさないようにします。表面が乾いていると感じてから2、3日たってからあげるのがポイントです。
鉢植えでは、5月から10月の生育期間中に、適量の緩効性化成肥料をあげますが、肥料はほとんど必要がないといえます。庭植えではまったく必要がなく、苗を植え付けるときに少し土に混ぜておいてもよいです。庭植えといった場所では、放置しておいても自然に大きくなるとされ、とても丈夫な植物です。
大きくなりすぎるのが嫌なら、1メートルほど育ったあたりから、こまめに摘芯してあげるようにします。こうすれば2メートルくらいに背丈をおさえることができます。摘芯の時期が遅くなれば花芽まで落としてしまうことがあります。芽は9月以降に作られるので、摘芯は8月までにやるようにしてください。
増やし方や害虫について
皇帝ダリアの増やし方は、株分けとさし木です。株分けの適期は3月となっているので、植え替え時に一緒にやるのがおすすめです。球根部分の塊根はとても大きく固いので、大型のハサミやノコギリといった道具が必要となります。茎と塊根のあいだのところに新芽ができる部分があります。
このつなぎ目といった部分以外には芽をだすことがないので、株分けの際はこのつなぎ目の部分を折ったりしないように注意して株分けしてください。また、株分けよりもたくさん増やしたいならさし木がおすすめです。とても簡単に芽をだすので初心者にもできます。
さし木に使うのは、長く育った太い茎です。11月に霜が降りる前に、皇帝ダリアを切り倒し、この茎の部分を輪切りにしてさし木として使用します。冬越しさせる際に、切り倒すといった作業をするので、そのついでにやるというのもよいです。必ず枯れるまえのものを使ってください。
凍らないように室内で栽培します。まずは、節を2つくらいつけて切り落とします。この節のところに芽がでるので2、3個残すのがよいです。水ごけにさし木をして芽がでるまで管理します。芽がでたら土に植えて冬越しさせます。その後、春になり、霜の心配がなくなったら、庭などに地植えしてください。
病気については特になく、害虫が付く被害があります。6月から10月にヨトウムシ類が発生し、新芽や葉を食い荒らすなどします。固い葉よりも新芽と若葉といったやわらかい葉を食べるのでチェックして、ひどい被害があるようなら駆除剤などを散布して対策をとってください。
皇帝ダリアの歴史
ダリア属は、メキシコから中米に27種が分布しており、茎が木質化する3種がツリーダリアと呼ばれています。皇帝ダリアもその一つで、別名を木立ダリアやインペリアルダリアといい通常のダリアと比べると草丈が大きく育ちます。
生息地は主に、メキシコから中央アメリカ、コロンビア、ボリビアに分布しており、山地帯から亜高山帯の岩礫地や草地、林内などに生えています。ツリーダリアの品種は少なく、薄紫の一重の花を咲かせるものは、野生種だと考えられています。
皇帝ダリア自体の品種は少ないですが、元になるダリアは多くの品種が存在します。ダリアの名前の由来は、リンネの弟子であった、スウェーデンの植物学者、アンデル・ダースからきています。日本へは江戸時代に渡来し、長崎からオランダ人によってもたらされたといわれています。
メキシコシティー植物園からスペインのマドリード植物園にタネが送られたのがヨーロッパでの栽培の始まりです。その後に長い歳月をかけて改良がされ、たくさんの品種が生まれましたが「皇帝ダリア」もまたそういった一つです。日本では木性で大きく育つことからインパクトのあるものとして、
公園などにも植えられています。また家庭ではガーデニングとして、育てあげる楽しみを持ったものとして人気があります。世界でも人気が高く、ダリア界の王様とも呼ばれています。皇帝ダリアの「皇帝」とは、皇帝に恥じない大きさだからとか、皇帝ナポレオンのように寒さに弱いからともいわれているようです。
皇帝ダリアの特徴
皇帝ダリアの特徴といえば、木のように大きくなる草丈です。草花と類される植物にしては珍しく、よく成長すると5~6mにも達するといわれています。そのため、部屋の2階からでも花を楽しむことができます。短日性で11月から12月ごろ、10~15センチの大きな花を咲かせます。
寒さにはとても弱く、霜などの寒さに触れるとすぐに枯れてしまいます。花は一般的に一重のピンクが定番とされ、八重咲きもあります。八重咲きとされるのが「エクセルサ」です。皇帝ダリアの八重咲きとされていますが、インペリアリスではないと考えられているようです。
また、八重咲きのものは一重咲きよりも草丈が低くなり2~3メートルといった感じに育ちます。皇帝ダリアは、通常のダリアとは違って色の種類なども少なく選ぶ楽しみといったものはないですが、個性ある花姿はとても魅力的です。茎は中空で木質化し、太く育つ特徴があり、
高く育ったてっぺんの先に花が咲くなどとても目を引きます。大きく育つ様から、庭植えでないと楽しめないと思われがちですが、鉢などでもコンパクトに育てることができます。剪定などをして小さく切り込めば庭でも2メートルくらいの大きさに育てることが可能です。
とはいえ、この皇帝ダリアの一番の魅力といえば草木にない意外さです。短期間の間に想像を超えた高さに育つ様は、見所の一つで育てる楽しみといえます。どれくらい大きく育つのか、ダイナミックに育てて鑑賞してみるのもおすすめです。大きくなるとはいえ、育て方は簡単です。ぜひお庭などに植えてみてください。
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