シネラリアの育て方

シネラリアの育て方

シネラリアはキク科の植物で、早春から春にかけての代表的な鉢花のひとつです。原産地は北アフリカの大西洋沖に浮かぶスペイン領カナリー諸島やシシリー諸島、マデイラ諸島、アゾレス諸島などで、これらの場所に15種類ほどが自生していました。

シネラリアの育てる環境について

原産地が夏も涼しく乾燥している地中海性気候のため、シネラリアは暑さにも寒さにも強くはありませんが、少しずつ慣らしていけば、最低温度1℃くらいまでは耐えられるようになります。品種によっては、0℃くらいまで枯れないで耐えられるものもあります。

育て方は、種から育てる場合、8月から9月にかけて、半日陰で種まき行ない、発芽した後も秋の彼岸ごろまでは涼しい半日陰に置いて管理します。彼岸が過ぎたら日当たりのよい場所で栽培します。苗を購入した場合の育て方も同じで、11月頃まではベランダなど戸外の日当たりのよい場所で栽培します。

こうして少しずつ寒さに慣らせると、12月以降もベランダや軒下などで栽培することができますが、霜や寒風に当てても株がいたむので、11月を過ぎて花が咲いたら、日当たりのよい室内に取り込んでもかまいません。5℃前後の低温下で育てると、

間延びせず、バランスのよい姿に成長します。寒冷地では、12月以降は屋外での栽培は避け、室内の日当たりのよい場所で管理します。また、冬に花が咲いた鉢植え(開花株)を購入した場合、ほとんどは温室で栽培されたものなので、

寒さに対する抵抗力が非常に弱く、屋外に置くと株がいたみます。室内の日当たりの良い場所で管理し、最低温度を5℃以上を保つようにしましょう。ただし、暖房がきいた室内は土が乾燥しやすく、花の寿命が短くなってしまうので気をつけましょう。

春になって霜が降りなくなれば、室内から戸外へと移してもかまいませんが、花に雨が当たると病気の原因になりますので、雨の当たらない場所に置いてください。適した環境で管理すれば、11月から5月頃まで、長く花を楽しむことができます。

種付けや水やり、肥料について

シネラリアの種つけは、8月から9月にかけて行ないます。種つけ栽培の場合、開花は遅くなりますが、耐寒性のある株に育てることができます。シネラリアは、有機質に富んだ、水もちのよい土を好みますので、赤玉土(小粒から中粒がおすすめです)5:ピートモス3:バーミキュライト2の割合で土を作り、

ゆっくりと効くタイプの肥料を、あらかじめ少し混ぜておきます。種は、箱や鉢にばらまきして、発芽するまでは乾かないよう管理しましょう。芽が出て、本葉が出たら、株と株の間が3cmほどになるよう間引きます。9月から10月にかけて、本葉が4枚以上ついたら、3号のビニールポットに植え替えます。

その後、11月から12月にかけて、4~5号鉢やプランターに植えつけます。水やりは、土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るくらいまで、たっぷりと与えます。シネラリアは水切れをおこしやすく、特に開花中はよく水を吸うため、土の表面をさわって半乾きになっていれば、

たっぷりと水を与えるようにしましょう。その際、花に水をかけると傷みますので、株の元にそっとかけるようにします。ただし、鉢を覆うように葉が茂って株元が過湿になりやすいので、与えすぎにし注意しなければなりません。肥料は、10日ごとに液体肥料を土に追肥し、

育てている間は肥料を切らさないようにします。生育中に肥料が切れると花つきが悪くなったり、花も小さくなります。また、開花中に肥料が切れると、つぼみが開かずに枯れてしまうこともありますので、4月頃までは、緩効性化成肥料と薄めの液体肥料を切らさないようにしましょう。

増やし方や害虫について

シネラリアは、種まきとさし芽で増やすことができます。上のほうから花が咲くので、花びらが散る前に摘み取ると、下のツボミが次々と花を咲かせます。花がら摘みを続けて、花が少なくなったら、わき芽のある節の上で切り戻すと、新しく花茎が伸びてきます。

これを「切り戻し」といい、開花中はこの方法で花を増やすことができます。さし芽の適期は5月頃です。開花時期が終わり、花茎を切り落としたあとに、株元から出た芽をかき取って、あらかじめ湿らせておいた赤玉土に挿しておくと、根が出てきます。

その後、大きくなるにつれてポットや鉢に植え替えて育てます。種や苗から育てるときと同じように、肥料も欠かさず与えるようにします。さし芽で増やすと、夏越しをさせなければなりません。もともとの生息地が地中海性気候であるシネラリアは高温多湿を嫌いますから、

初夏から夏が終わるまでは、できるだけ風通しの良い半日陰の場所で管理してください。風通しが悪いと、ウドンコ病が発生します。ウドンコ病は10月から5月にかけて発生する病気で、葉にカビの胞子が小麦粉のように付いて白くなります。カビの胞子が栄養を奪うため、

放置しておくと生育不良となります。被害のひどい葉は取り除いて、殺菌剤を散布します。コナジラミも、10月から5月にかけて、風通しが悪いと葉の裏に発生します。アブラムシも、風通しが悪くなると発生しやすく、

葉や茎にびっしりと付きますから、春先に薬剤を散布して予防しましょう。11月から5月にかけては、花びらに灰色かび病が発生することがあります。花がらをこまめに摘んで、予防に努めることが大切です。

シネラリアの歴史

シネラリアはキク科の植物で、早春から春にかけての代表的な鉢花のひとつです。原産地は北アフリカの大西洋沖に浮かぶスペイン領カナリー諸島やシシリー諸島、マデイラ諸島、アゾレス諸島などで、これらの場所に15種類ほどが自生していました。

1777年、イギリス人のフランシス・マッソンによって発見されます。現在、園芸用に広く流通しているシネラリアは18世紀にイギリスで作られた品種をもとに、カナリア諸島原産のペリカリス・クルエンツス、 ペリカリス・エリティエリ、ペリカリス・ポピュリフォリウス、ペリカリス・トゥシラギニスなどを交配して、

草丈が低く、株の中心にこんもりと半球状に花が咲くように改良されたものです。日本には1877年(明治10年)に渡来しました。当時は海外から入ってきた植物に必ず和名をつける習わしがあり、葉が蕗(フキ)の葉に似ていることと、葉を覆うように咲く形が桜に似ていることから、

植物博士の松村博士によって明治29年(1896年)に「フキザクラ」という和名がつけられました。鉢花としての栽培が広く始まったのは昭和の初めで、フウキギク(富貴菊)やフウキザクラ(富貴桜)などとも呼ばれてきましたが、現在はサイネリアの名称で流通しています。

「Cineraria」の正確な読みである「シネラリア」が「死ねラリア」と連想されて語感が悪いことから、日本の園芸界が「サイネリア」と読みを変えたものですが、世界では「シネラリア」で通用します。花言葉は「いつも快活」「喜びに満ちて」などです。

シネラリアの特徴

冬から春にかけて、明るく華やかに咲く鉢花として親しまれているシネラリアは、草丈が20~30cmと低く、赤や黄色、青、紫、ピンク、白など、カラフルな色彩の花をこんもりと半球形に咲かせるのが特徴です。単色だはなく、蛇の目模様の複色もあります。

花の大きさは大輪から小輪まで様々で、花径は2~7cmほどです。卵形の葉は蕗の葉に似ています。また、花が咲いた後にできる実は熟しても開かない「そう果」というタイプで、タンポポに似ています。カナリー諸島など、シネラリアの原産地は地中海性気候で夏も涼しく乾燥しているため、

多年草になることが多いのですが、高温多湿の日本で夏を越させるのは難しいため、日本では一年草として扱われます。夏から秋にかけて種をまいて育てる品種と、さし芽で増やす品種があり、開花時期は12月から4月頃です。シネラリアには多くの品種があり、花の大きさや草丈などから、

いくつかの系統に分類されます。大輪種で花径が10m近くになるグランディフロラ系、草丈が70cmほどになるポリアンサ(ステラータ)系、2~3cmの小さな花をたくさんつけるムルティフロラ系、草丈が低く花径は5cm前後で、日本で古くから栽培されているダルマ系などです。

草丈が50cm以上に成長する品種は「木立ち性シネラリア」とよばれています。冬の高級鉢花として人気のシネラリアですが、シネラリアが「死ネラリア」、サイネリアが「災ネリア」と、いずれも厄災を連想させるため、新築祝いや病気見舞いの贈り物としては不向きとされています。

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