ニンニクの育て方
ニンニクの育てる環境について
中央アジア原産で世界三大香辛料の一つであるニンニクは、生育適温が18~20℃です。そのため、暑さには少し苦手な植物です。ただ、品種によっては、暑さが苦手な「寒地系」と温暖な地域でも育つ「暖地系」があるため、地域に合った品種を選んで植えつけることが大切です。
暖地では、外皮が赤くて鱗片が多く、強い香りと濃厚な味わいが特長の「紫にんにく」などが向いています。一方、寒地では、作りやすさ、味、貯蔵性ともに優れている、青森産の優良品種「ニューホワイト六片」などを選ぶと育てやすいでしょう。
生育には、土質が大きく関わります。肥沃で排水性がよく、耕土の深い状態が最適です。土づくりを行う際は、完熟堆肥をたっぷりと施し、十分に耕しておきましょう。植え付け前にあらかじめ、うねに黒色のポリマルチを張っておくと、冬の地温を高めてくれるので、雑草防止や肥料の流亡を軽減してくれます。
種球(タネ球)は植え付け前に、1片ずつに手で分割します。その際、基部が腐敗ぎみのもの、病斑のあるもの、小さいものなどを取り除いておきます。植え付け後、芽が伸び始めて葉が10~15㎝のころ、1球から二つ以上の芽が出てきたら、小さい方の芽(わき芽)を早めに根元からかき取ります(芽かき)。
追肥は、1回目は11月下旬、2回目は芽が伸び始めるころ(翌年2月中旬)に行います。マルチのところどころに小穴をあけ、化成肥料をまきます。春の生育期には、花蕾(からい)が伸びてトウ立ちしてきます。花を咲かせると株が疲れて球が大きくなりにくいので、適宜摘み取ります(花蕾摘み)。摘み取ったものは、ニンニクの芽として食べられます。
ニンニクの種付けや水やり、肥料について
酸性土壌を嫌うので、植える場所には、苦土石灰を全面散布し耕し、リン酸肥料や完熟堆肥も十分補給しましょう。育てる土によって、かなり生育度合いが変わってくるので、土作りが大変重要です。植え付ける前に、一晩水につけると発芽がそろいます。
また、土が乾いた状態で植えてしまうと、発芽が遅れてしまいます。乾燥が続く場合は、たっぷりお水をあげましょう。7~8cmの間隔で芽を上にして3~5cmの深さに植え付けます。このとき、なるべく大きめの鱗片を選びながら植えることがポイントです。軽く土をかぶせ、たっぷり水をあげます。
もし、芽や根が出てしまったものがあっても、大丈夫です。穴を大きめに開けてそっと置きましょう。11月下旬と2月中旬には、肥料をあげるとよいでしょう。標準プランターの場合は、5~6gを列の間にまいて土と混ぜ合わせます。または500倍に薄めた液体肥料を、7~10日おきに与えることも効果的です。
育てるうえで、いちばんのポイントは、花を咲かせないようにすることです。5月頃になると、茎が伸びて、その先にネギぼうずのような花をつけることがあります。この花を咲かせてしまうと、花の方にエネルギーが行ってしまい、
大事な食べる部分(土の下にある球根のようなもの)が大きく育たなくなってしまいます。そのため、、茎が伸び、花が咲く前に、茎の途中から折り取ってしまう必要があります。この部分は、「ニンニクの芽」として、炒め物などにして食べてしまいましょう。
ニンニクの増やし方や害虫について
ニンニクにつくおもな害虫は、「イモグサレセンチュウ」と「ネギコガ」です。「イモグサレセンチュウ」は、種球にこのセンチュウが寄生していると、初期では萌芽の発生が遅れたりします。生育後期の場合は、下の方の葉から黄色くなり、上の方にもひろがります。
そして、最終的は株が枯れてしまいます。球根部が腐敗してしまうため、収穫量や品質に大きく影響します。「ネギコガ」は、越冬後の高温期に発生します。幼虫が葉にもぐりこみ葉を食べてしまうため、食害を受けたところは、透けて見えるところが特徴です。
ニンニクは、殺菌効果が高く、においも強烈であるため、虫はつきにくいといわれています。そうはいっても、虫がついてしまうこともあるため、虫がついたときは、害虫駆除を行いましょう。害虫にあった農薬や駆除剤を使用するか、農薬を使いたくない場合は、竹酢液を使用しましょう。
さらに効果を上げるためには、竹酢液に唐辛子をまぜると効くようです。ニンニクは、育て方が難しくない作物として知られていますが、食べながら増やせるハーブともいわれています。種付用の球根をプランターに植えるだけで、簡単に増やせるため、畑を持たない人でも、気軽にベランダで育てることのできる作物です。
上手に増やしていくためには、おおきな球根を作ることが大切です。種付けの際に、おおきな粒であるほど、発芽もよく、その後の生育も期待できるものとなります。上手に増やしていくためにも、生育を大きく左右する土づくりをしっかり行いましょう。
ニンニクの歴史
ニンニクの原産地は中央アジアと推定されていますが、すでに紀元前3200年頃には古代エジプトなどで栽培・利用されていたようです。紀元前1300年頃に作られたと考えられているツタンカーメン王の墓からは乾燥したニンニク鱗茎6個が発見されています。
そして、紀元前1500年以前に書かれたとされる世界最古の薬物治療書「エベルス パピルス(The Papyrus Evers)」には、疲労、衰弱、手足のふるえを伴う神経系疾患、月経不順や堕胎、心循環系疾患などに効くとしてニンニクを含む22の処方の仕方が記載されています。
古代ローマでは、紀元1世紀頃にディオスコリデスによって書かれた「薬物誌」に、ニンニクが咳止めや寄生虫の駆除など急性疾患の治療薬とし効果があることが記録されています。古代バビロニアでは、ニンニクの栽培が行われていたことを記述したものなど、いくつかの粘土板が発掘されています。
また、古代インドの医学書「アーユルヴェーダ」には、心臓や消化管、呼吸器に対するニンニク の薬としての効果が記載されています。このように、古代から各国で薬として重宝されてきたニンニクは、中国に紀元前140年頃伝わり、
日本には中国を経由して4世紀頃には伝わっていたと考えられています。主に薬用として伝わり、日本書紀や古事記、日本最古の医学書にも、ニンニクについての記録があります。風邪や脚気に効果があるとされていたことが、記録からわかります。
ニンニクの特徴
ニンニクはヒガンバナ科ネギ属の植物です。特有の強烈なニオイを持っていることが特徴で、この香りが食欲を誘う香りとなります。ニンニクは、茎や葉の部分も料理に使われます。ニンニクはスパイスとして利用するこごあが多いですが、分類敵には、野菜です。生息地は、世界各国です。
ニンニクは、調理方法や調理時間、熟成・発酵などによって効能や効果の度合いが変わるところが、にんにくの特徴です。また、にんにくは強い作用を持っているため、利用方法を間違えると健康を害することがあります。にんにくの効果を期待する場合は、正しい利用方法や調理方法、調理時間を守ることが大切です。
にんにくの効能や効果の元となっている成分は、「アリイン」という成分です。アリイン自体にはあまり効能はないものの、にんにくを切ったり、すりおろしたりするとアリインは「アリシン」という有効成分に変化します。この「アリシン」こそがにんにくの主成分であり、
においの元となり、効果を最大に発揮してくれるものなのです。ところが、このアリシンは不安定な物質なので、空気や熱、その他の物質の影響によって、どんどん変化してしまいます。そのため、ニンニクの調理方法によって効能や効果の度合いが変わると考えられています。
ニンニクには、「抗菌、殺菌および解毒を行う効能」、「ビタミンB1の吸収を高める効能」、「血栓を作りにくくする効能」、「活性酸素を除去する効能」という、4つの強力な効能があります。「抗菌・殺菌、解毒作用」は、アリシンの成分によるものです。
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