カンアオイの育て方

カンアオイの育て方

カンアオイは、ウマノスズクサ目ウマノスズクサ科カンアオイ属に属する植物です。日本名は「寒葵」と書かれ、関東葵と呼ばれることもあります。Heterotropa属に含むとする研究者もいますし、最新の植物誌フロラの中ではAsarum属に分類されました。

育てる環境について

日蔭でも良く育つシェイドプランツですが、年中日陰もしくは50%程度に遮光を施した環境で管理しなければなりません。夏は日差しが強く、何もしなければ葉焼けしてしまいます。それを防ぐには、75%から90%は遮光を行います。対暑性も耐寒性も普通ですが、冬でも戸外で冬越しできます。

ただその場合には葉にストレスがかかってしまいますので、きれいな葉のままを保つためにはフレームなどの保護が必要です。九州南部より南で自生している種類の品種は一般的な品種と比べて寒さに弱い傾向にあります。鉢植えであれば5℃以下にならない場所で管理するか、

せめて凍らない様な場所を選んで移動させましょう。庭植えであれば、明るめの日陰か木陰、石やオブジェの陰などを好みます。適した場所に植えられた時には、大株に育ち、見た目も大変見事です。冬はマルチまでは必要ありませんが、落ち葉を掛けるなどすると問題なく冬を越します。

萼筒の切り取りは、タネをとらないのであれば、咲き終わった萼筒から切り取ってゆきます。タネを採るつもりであれば、地を這う虫から受粉されないことも考えて、人の手で受粉し、タネができるまで萼筒の切り取りをせずに待ちましょう、また葉傷みをすることもありますので、気になるようであれば支柱立てをして防ぎます。

葉がしっかりしてきた時点で葉受けリングに変えると葉を保護することができます。園芸品種にはヒメカンアオイ、オトメアオイ、タイリンアオイ、コシノカンアオイなど、その他にも多くの種類が流通しています。また古典園芸植物として古くから親しまれている「細辛」もあります。

種付けや水やり、肥料について

育て方の難易度はごく普通ですが、日の管理や乾燥などに注意が必要です。種付けから行う場合には、5月6月が適しています。花の後にとりまきを行います。野山で自生しているカンアオイであれば、地表で活動している虫たちが受粉してくれます。しかし栽培している環境では、

それもなかなか難しいもので、受粉しなければタネができません。タネを採るなら人工受粉を行います。タネを植える時には培養土を使い、軽く覆土したあとに日陰に管理します。半年から1年ほどかけて発芽してきます。水やりの管理はマメに行います。

通気性に富み水はけがよいことを好みますが、乾燥することは嫌います。そのため「適度」を保たなくてはなりません。鉢植えの場合には、少し深めの鉢が良いでしょう。そして水持ちが良い用土を選びます。赤玉土を単体で用いるか、赤玉土と鹿沼土、軽石を6対3対1程度の割合で、

粒径2ミリから5ミリのものを用いて配合します。庭植えの場合には環境に留意しつつ、風通しと水はけ、乾燥しない場所をや土を選ぶとよいでしょう。肥料は大変欲しがります。3月下旬から6月下旬にかけた芽出し後の時期や、9月下旬から10月中旬までの間は、

2週間に1回を目安に、チッ素、リン酸、カリが等量含まれている液体肥料を規定の倍率で与えます。液体肥料と一緒に置き肥をすると更に効果的ですが、その時期は3月と9月の2回です。根が発達を促すためにも、毎年もしくは2年に1回ほど、植え替えをおこないましょう。

増やし方や害虫について

タネによって増やすことができますが、株分けや根伏せも難しくはありません。毎年もしくは2年に1回ほど植え替えを行って根の様子を見ますが、芽がふえていればその時に株分けし手も良いでしょう。長い根が3本以上確認できれば、株分け可能です。芽から根茎をたどってみてみます。

もし株分けできそうであれば、分けやすいところ絵を選んでの部分から切ります。ハサミでも手でも構いません。勢い良い根茎がたくさん出来ているようであれば、根伏せができます。根伏せの場合には芽がなくても大丈夫です。選ぶ根茎は、白っぽく堅い元気なものです。

根をつけたまま、節の部分から切ります。根茎が完全に埋まる状態で植えれば発芽してきます。早いものであれば早いものでは半年で、発芽が確認できます。害虫はナメクジやヨトウムシの食害と、アブラムシやカイガラムシ、コナジラミ、ハダニといったものに注意します。

食害は葉が柔らかい時に起こります。葉の葉裏に虫がつきやすい植物です。手入れの度に葉の裏を見ておきます。かかりやすい病気は白絹病や軟腐病、炭そ病、ウイルス病などです。水やりに問題がないにもかかわらず、急に株がしおれるようなことがあれば、

白絹病や軟腐病が疑えます。芽出しで葉が黒く萎縮しているのが確認されると、炭そ病やウイルス病かもしれません。病気になった株は、すぐに取り除くように心がけます。白絹病の場合には、菌核は地表5cmほどにしかいません。

寒い時期な菌核で越し、温かくなってから活動します。休眠している1月から2月に土を返しを深く埋めて予防する方法もあります。鉢植えでは、7から8月に太陽で土を消毒するのも良いでしょう。

カンアオイの歴史

カンアオイは、ウマノスズクサ目ウマノスズクサ科カンアオイ属に属する植物です。日本名は「寒葵」と書かれ、関東葵と呼ばれることもあります。Heterotropa属に含むとする研究者もいますし、最新の植物誌フロラの中ではAsarum属に分類されました。

「アオイ」の名は様々な植物につけられていますが、もともとはフユアオイを示していました。これらに葉が向日性を持つことから「仰(あおぐ)日(ひ)」として「アオイ」が付けられたとされています。家紋などに使われているアオイは、カンアオイと同属のフタバアオイからデザインされています。

家紋でもわかるように、ハート形の葉を持っています。これはカンアオイも持っている形状です。カンアオイは日本固有種ですので、原産国は日本です。関東地方、近畿地方、四国などを生息地としています。同じく日本固有種であるギフチョウが、

幼虫の時にはカンアオイを食草としています。カンアオイの成長速度は大変ゆっくりとしています。そのためすでに成長しているカンアオイを求める傾向にあります。人里からほど近い野山に分布していることから、開発やマニアの乱獲などによる影響を受けてしまい激減しました。

カンアオイの葉に卵を産みつけたり、幼虫が食草としているギフチョウもまた激減し、残念なことですが絶滅してしまった地域すらあります。野山で取ることはせず、タネや株分けによって栽培するように心がけるべきでしょう。

カンアオイの特徴

カンアオイは小型の多年草です。茎は短く背が低く、地面を匍匐して生えています。葉は互生のハート形で、長さは6センチから10センチ程度、幅は4センチから7センチほどです。濃緑色の中に白の斑紋が見られます。葉だけをみると、シクラメンのそれに似ています。

10月から11月の秋に葉の根元で小さな花を咲かせます。先端が3つに裂けたような筒状の花ですが、花びらに見えるのは3枚のガクで、花びらがすでに退化しています。雄蕊が12本あり、雌蕊は6本です。淡い香りを放ちます。常緑性ですので、花が咲き終った時期に、

新たな葉が古い葉と入れ替わります。初夏にはタネができるますが、そのころには新芽が作られ始めています。土の中で堅いしっかりとした棒状の根茎が這うように成長しながら、わき芽でふえてます。その成長はとてもゆっくりです。カンアオイの仲間は日本各地を生息地とし、

落葉性のフタバアオイやウスバサイシンなどもあります。地域によって変異していることも多く確認されています。ナンカイアオイ、スズカカンアオイ、アツミカンアオイなどもカンアオイの変種に含む学者もいれば、それぞれを独立種したり

スズカカンアオイをアツミカンアオイの変種とするなど、なかなか複雑です。最近、斑入りの様々な個体や花変わりなどが見つけられたり新品種が作られたりしています。葉模様の違いを愛でるファンも多く、日陰の庭を飾る観葉植物としての楽しみ方もできます。

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