トキソウの育て方

トキソウの育て方

ラン科トキソウ属の山野草です。和名は朱鷺草(トキソウ)で、別名には朱鷺蘭(トキラン)などがあります。日本の本州や北海道を原産地とするラン科の山野草です。主に日本各地の湿地、小沼に見られます。

トキソウの育てる環境について

基本的には鉢植えで育てます。湿原を生息地とする植物で、日当たりの良い場所を好みます。日陰で育ててしまうと全体的に間延びして姿勢が引き締まらなくなってしまうので、年間を通して棚上など日当たりの良い場所で育てます。夏の暑い時期にも、多少葉焼けする程度ならば、日当たりを優先させてあげるほうが株が充実します。

それで鉢の中が蒸れてしまうようならば、寒冷紗(蚊帳などに用いる)を使って50%遮光してあげると良いでしょう。夏場の昼間など、暑い時間に水を与えてしまうと鉢の中が煮えてしまうので、その時間帯は避けるようにします。夕方や明け方など、比較的涼しい時間に与えると良いです。

もしくは、鉢を二重鉢にしてあげると直射日光が当たらず、鉢内の水が煮えるのを防ぐことができます。トキソウを植える鉢と、それよりもひと回り大きなサイズの鉢を用意します。大きな鉢に小さな鉢を入れてあげれば、二重鉢の完成です。

これにより、外部からの日光の遮断が可能になり、日当たりをよくしながらも鉢の中が高温になってしまうのを防ぐことができます。冬場は凍結が心配な場合には、棚下、無加湿フレーム、などを使うと強い凍結を防ぐことが出来ます。

用土には、比較的水持ちの良いミズゴケのみを使って栽培します。そのほかには、細かい鹿沼土(2〜3mm):小粒赤玉土=1:1の配合土か、鹿沼土(2〜3mm):ミズゴケ(1cm刻み)=7:3の配合土が使えます。

トキソウの種付けや水やり、肥料について

植え付けは、芽出し前の休眠している間に行います。平鉢や、やや浅めの鉢を使うとバランスよく植えることが出来ます。生長するに従い大きく広がっていくので、口径が広めの鉢を選ぶようにしましょう。鉢の底に鹿沼土(粒径1cm前後)のゴロ土を薄く敷き、その上から少しだけ培養土を入れます。

根を丁寧にバランス良く広げたら、芽を上にして隙間ができないように培養土を入れていきます。芽の位置が鉢の縁よりもほんの少しだけ低いあたりでとめます。培養土で芽を覆うようにします。植え込み直後には、しっかりと水やりを行うようにします。

2年も経てば頑丈な芽が出てくるようになります。植え替えは、2年に1回の間隔で行うのがベストです。ラン科の植物は根が張るスピードと力が強いため、2年も経てば根だけで鉢の形を象れるほどにみっちりと根が詰まってきます。芽出し前に鉢から抜いて、

手作業で大雑把に株分けしてあげると良いです。根が枯れて茶色く変色したものは取り除き、鉢のサイズに合わせて根を処理します。水やりに関しては、しっかり目に与えるのがポイントです。湿地帯原産なので、大変水を必要とします。1cmほどの腰水にしても良いですが、その場合には水が腐らないように気をつけます。

夏場の暑い時間帯の水やりは避けて、涼しい時間に与えましょう。冬は用土が乾燥しないように、常に湿り気を帯びる程度に水を与えます。肥料は4月下旬〜7月上旬、9月下旬〜10月下旬の成長期に2週間に1度、液体肥料を与えます。根が四方に広がる植物なので、元肥や置き肥は適しません。

トキソウの増やし方や害虫について

株分けで増やすことが可能です。2年に1回の根の処理のための植え替え時に、まとめて行うと良いです。芽出し前に鉢から抜いておいて、手で大雑把に株分けします。根が頑丈なので、それほど丁寧に行わなくても良いので楽です。芽がついた根茎が連なるように伸びているので、長く、芽の数が多いものを選んで株分けします。

あまり小さく分けずに、大きめの塊状に分けるのがポイントです。作業は手早く行い、なるべく芽を乾かさないのがコツです。ふっくらと丸みのあるのが花を咲かせる芽で、細いのが葉の部分になる芽です。花芽を鉢の中心においた時に、バランスよく見せられるように配置して植え付けます。

かかりやすい病気には、炭疽病(たんそびょう)、ウィルス病、白絹病、などがあります。芽出し時期に葉が縮んで、花や葉の部分に黒い斑点のような模様ができたら炭疽病やウィルス病の疑いが大きいです。急に株が枯れて根に白い菌糸が出てきたら白絹病の疑いがあります。

つきやすい害虫には、ナメクジ、ヨトウムシ、バッタ、アブラムシ、などがあります。アブラムシ以外は食害を引き起こす害虫です。見つけたら捕殺するようにします。もしくは、専用の駆除スプレーを使って撃退するようにします。アブラムシは花につくことが多いです。

ラン科の植物は香りがよく、虫が集まることも多いですが、それに比べればトキソウはそれほど害虫の被害はありません。ただし、一度ついてしまうと増殖することもあるので、見つけたら早めに駆除しましょう。

トキソウの歴史

日本の本州や北海道を原産地とするラン科の山野草です。主に日本各地の湿地、小沼に見られます。最近では栽培目的で乱獲され、全国的に数が減っています。環境省のレッドデータブックでは、絶滅危惧種2類に分類されています。トキソウを漢字で書くと「朱鷺草」で、

これは花の色が特別天然記念物の朱鷺(トキ)の翼の下の色に似ていることからきています。トキの翼の下の色は、色名でも朱鷺色という分類があります。色も似ていますが、歴史的な変革もトキと似ています。鳥のトキは日本の在来種はすでに絶滅しています。

植物のトキソウの方も、上記のように絶滅危惧種2類に分類されています。植物の方は日本各地の湿地で保全活動が行われたため、絶滅の危険性が減ってきて、2007年には絶滅危惧種2類からワンランク低い準絶滅危惧種になっています。トキソウの学名は

Pogonia-japonica(ポゴニア・ジャポニカ)で、Pogoniaは「ひげのある」という意味です。花の唇弁に毛状突起があり、これが目立つことからきています。学名の後半部分は種小名でjaponicaとなっています。日本を意味する学名ですが、これがついているからといって

完全に日本の固有種というわけではなく、中国大陸などの国外にも分布しています。トキソウは高速道路やゴルフ場の開発など、人間の土地開発により生息地が減ったことで数を減らしましたが、移植など熱心な保護活動によって少しずつ数を取り戻しつつあります。

トキソウの特徴

ラン科トキソウ属の山野草です。和名は朱鷺草(トキソウ)で、別名には朱鷺蘭(トキラン)などがあります。日本原産の植物で、主に本州や北海道の湿地や小沼などの湿地性の高い場所に生息しています。垂直分布が広く、海岸付近〜高層湿原の湿地帯まで広く群落をつくります。

春の芽出しの時期になると、葉に包まれるようにして花芽を抱えて出てきます。葉の展開と共に花芽を伸ばし、晩春〜初夏にかけて桃紫色の花を咲かせます。花が終わると、結実したものは子房を膨らませ、種をつけます。葉が細長く薄いヘラのような形をしており、1本の茎に対して1枚だけ葉をつけます。

根はラン科の植物の特徴として、地中に根茎を這わせるように伸ばし、新しい芽を伸ばして増えていきます。落葉性の植物で、晩秋には地上部の葉が枯れて、休眠します。乱獲や土地開発により日本では近年、絶滅が危ぶまれている山野草のひとつです。

園芸用に出回っているものは生産増殖された品種で、春頃に苗が出回ります。ただし、これは加湿した育て方で花を咲かせているので、自然のものよりもやや軟弱です。ちなみに、トキソウとよく似た湿地性のラン科の植物にサギソウ(鷺草)があります。こちらは純白の花をつけ、

盛夏やお盆のあたりに花をつけます。サギソウはトキソウよりも植生が安定化された場所に生育し、湿地帯では主にミズゴケ類が発達するような場所で育ちます。トキソウはそれに比べると、5月中旬〜6月上旬に花をつけ、土砂の流入が多い撹乱されたような場所に生育することが多いです。

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