グミの仲間の育て方
グミの育て方
常緑性のナワシログミの場合、日当たりがよく極端に栄養不足でない用土であれば乾燥や過湿に強く、とくに土質を選びません。厳寒地ではない関東から西の地域の庭木として育てられることが多く、ツルグミやナワシログミはフェンスやトレリスなどにからませて生垣として仕立てることが一般的です。
落葉性のナツグミの場合は、水はけのよい日当たりの良い場所で育てます。一度根付けば、根は充分に発達し旺盛に育ちます。庭植えの場合は水やりをほぼ必要としませんが、極度の日差しが強い真夏の場合には土があまりにも乾燥しすぎているようなら水を与えましょう。
鉢植えの場合には、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。肥料は、2月から3月の間に緩効性肥料を与えましょう。常緑性のグミには花が咲き終わる10月から11月頃、落葉性のグミは夏の終わりに涼しさを感じるようになる頃から10月下旬頃まで、緩効性肥料や油かすを与えるようにします。
庭に植え付ける場合には、成長が緩慢になる10月上旬頃、または厳寒期をのぞいた3月頃に根鉢の大きさの二倍の深さと幅のある穴を掘り、植えつけましょう。掘り出した土に腐葉土などをまぜて、充分に栄養分を与えた土を植えつけに使用します。
もともと、砂地や荒れ地であっても栽培可能な果樹であるため、日当たりと水はけのよい環境なれば問題なく成長すると考えられます。ぐらつきがある場合には支柱をたてるとよいでしょう。グミの種類にもよりますが、充分に成長した木は梅雨時の6月頃に果実が熟して食べ頃になります。
苗木を植えつけて、実がなるようになるまでは3年から5年程度かかるため、気長に成長を待ちましょう。緑色だった果実が赤く熟して手触りが柔らかくなったものから収穫します。食べてみて渋い場合は熟し方が足りない証拠です。
栽培中に注意したいこと
上手に剪定を行うことが、たくさんの果実が実るような育て方のコツです。冬になったら日当たりと風通しを確保するために、込み入った枝をすっきりと切り落としましょう。長く伸びすぎた枝の先を切り戻すことで、果実がなる量を増やすことが可能です。
しかし、花芽を切り落としてしまうと花が咲かなくなったり実が付きづらくなることがあります。一度に強い剪定を行わず、3年くらい時間をかけて行いましょう。落葉性のグミは、つぼみのついた枝は残して枯れ木や折り重なって日当たりが悪くなっている枝を取り除きます。
生垣として利用している常緑性のナワシログミなどは、6月上旬ごろに伸び過ぎた枝を切り戻して、より多くの枝を出し密集するような樹形に剪定するとよいでしょう。収穫したグミの実は傷みやすいため、すぐに食べてしまう必要があります。
一度にたくさん収穫して保存に困ったときはジャムやピューレなどに加工したり、果実酒などに利用することをおすすめします。せっかく収穫した実ですから、できれば新鮮なうちに食べてしまいましょう。種類によっては結実しずらい品種もあります。
花はたくさん咲いたのに、実がつきずらいという場合にはシベレリン1万倍水溶液を使用する必要が出てきます。シベレリンとは植物ホルモンのことで、種子の発芽を促進させたり老化を抑制する作用があり、多くの果樹に用いられています。また、自家不結実性の性質をもったグミの場合は他の品種の花粉を必要とする場合があります。
開花時期の合う種類のグミを近くに植えて、受粉を促しましょう。ほとんどの場合で昆虫を介して受粉作業が行われるため、昆虫が近くにいない場合には人工授粉させることが必要です。
また、あまりにも樹木の生長が著しい場合は、幹や枝を生育させるために栄養分がすべてもっていかれてしまい、実を熟すまでに至らない場合が考えられます。こうした場合は肥料を与える量をひかえたり、場合によっては中止します。根を掘り出して切り詰める作業が必要になる場合もあります。
グミの増やし方
グミは種付けの他にも挿し木をして増やすことができます。種付けをするためには種の採取が必要になりますが、園芸店などで苗木を手に入れて育てる方が、うまく成長する可能性は高いと考えられます。初めてグミを育てるという場合には種付けをするよりも、苗木から育てることをおすすめします。
グミの種は果実の真ん中にあり平べったく細長い形をしており、食べ終わった実の種をビニールポットなどにまいて種付けをすることができます。挿し木をする場合には、枝の下側の葉をとりのぞき切り口をななめに切って水上げをおこないます。剪定などで出た枝で、挿し木を行うことができるため簡単に挑戦できます。
挿し木用の用土か小粒の赤玉土に植えて、用土が乾かないように水を与え半日陰で管理しましょう。根付いたかどうかを見極めるためには、新しい芽や葉が出ているかどうかに注目する必要があります。挿し木に向いている時期は6月頃の気温が高くなってきた時期が向いています。
グミの歴史
グミの仲間はアジア、ヨーロッパ、北アメリカなどを原産地としており、幅広い地域を生息地にしています。約60種類ほどが存在し、常緑もしくは落葉の低木で多くの種類は果実を食用にできます。日本で育てられている主な園芸種に、常緑性のナワシログミと落葉性のナツグミがあります。
ナワシログミは漢字で書くと苗代茱萸で、日本の固有種だといわれています。刈り込みに強く密集した枝がよく伸びるため、主に人家の生垣として利用されてきました。日本では平安時代に作られた辞書、和名類聚抄の中に「和名 久美」として登場しています。
名前の由来ははっきりとわかっていませんが、漢名の茱萸子(ナツグミ)からきているといわれています。ちなみにお菓子として食べられているグミは、ドイツ語でゴムを意味する言葉からきており、植物のグミとはまったくの無関係です。日本の庭などで栽培されることがありますが、首都圏では自生することはありません。
グミの特徴
グミの最大の特徴といってよいのが、可愛らしい赤い果実です。まるでさくらんぼのような姿の赤い実をつけます。実は楕円形をしており、熟した実には甘酸っぱさと渋味を感じることができます。品種によって実の栄養素は若干異なりますが、多くの場合でリコピンを豊富に含んでおり、タンニンが多く含まれている場合には渋味が強い場合があります。
完熟した実は手で触ると少し柔らかく、食べ方としては生で食べる他にもジャムにしたりピューレ状にしたりして食べます。ナツグミの変種の中には、果実の大きさが3cm程と、とくに大きいものがあります。常緑性のナワシログミの場合、葉を観賞する目的としても利用されています。葉は灰色がかった緑色で、裏面は茶色く見えます。
葉にまだら模様が入った観賞用に改良された品種もあります。果実を食べることを目的として、商業的に栽培されることはめったになく、家庭の庭木として流通していることがほとんどです。そのため、家に大きなグミの木があるという以外には口にする機会の少ないレアな果実だといえます。
グミには落葉樹と常緑樹がありますが、落葉樹には耐寒性があるため日本各地で栽培することができ、庭に植える他にも鉢植えで育てることが可能です。日本に自生する植物のため、日本の環境の合っており育てやすい樹木であるといえます。苗木から育てて、約3年くらいで果実がなります。庭がなくても、ベランダなどで栽培に挑戦することが可能です。
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