ビカクシダ(Platycerium ssp.)の育て方

ビカクシダの育て方
水は春から秋までにかけては土が乾いたら与えるようにすればいいです。秋から冬にかけては少しずつ水やりの量を少なくし、冬はどちらかといえば乾かし気味にしておくのがポイントです。水を少なくすることでビカクシダの体液の濃度が上がりますので、それによって耐寒性が増すからです。
肥料は1年に1度遅効性の化成肥料を置き肥します。植え付けが5月から8月までの間に行い、株が大きくなった時にはヘゴ板などを利用して着生させてあげると育てやすくなります。鉢の外側に外套葉が巻きついてきたら吊りひもをつけて、吊り鉢として楽しむのも良いでしょう。
病気は炭そ病にかかりやすいです。黒褐色の小斑点がどんどん拡大していき、斑点の内側が淡褐色から灰白色の大きな病斑になって葉に穴が開いたり、葉先から枯れてくるという病気です。害虫はカイガラムシが発生しやすいので注意が必要です。炭そ病は春から秋にかけてですが、カイガラムシは1年中いつでも発生する可能性があります。
ビカクシダを栽培する上での注意
ビカクシダは胞子葉が枯れてきたらすぐに除去するようにします。ビカクシダの葉の表面には産毛のような毛がついています。この産毛のような毛は一度とれてしまうと再生しませんから、引っかいたりふき取ってしまったりしないように気をつけましょう。
ヘゴ板など着生させてしまう場合は株の下のミズゴケを触ってカラカラになる前に水を与えるのが良いです。ここが常に濡れたままですとミズゴケに虫がわきやすくなりますし、根腐れ起こしやすくなってしまうので濡れたままにならないようにしておきます。一度植えてしまえば植え替えの必要は大きく育てたい場合以外ではする必要はありません。
ヘゴ板などに着生させてある株を大きくしたいのであれば生長にあわせて板の大きさも大きくしてあげることで徐々に大きくなってきます。ヘゴ板に着生させたい場合は外套葉の中にミズゴケを詰めて、ヘゴ板に株を密着させるようにすることでずり落ちにくくなります。
そうしておいて、あとは麻縄で軽く縛り付ければ完成です。鉢植えにする場合は鉢の底から3分の2のところまでは素焼き鉢を砕いた鉢かけか発泡スチロールを大きく砕いたものを入れておきます。
球状にミズゴケを盛って、その上に株を置いて麻縄などで鉢ごと縛って固定してしまいます。1か月後くらいたつと、外套葉が鉢を覆うように生育をはじめてくるのでそうなったら成功ということになります。
種付けでビカクシダを増やすことはできる?
ビカクシダは基本的には株分けすることで増やしていきます。親株の外套葉の下から子株が出てきますので、子株の葉が3枚以上出ているようであれば切り取ってヘゴ板や鉢に植え付けます。タイミングは5月から8月頃にかけてです。
株分けをした後1か月間ほどは明るい日陰に置いておくようにしましょう。では種付けさせることはできるのかということですが、ビカクシダはシダの仲間ですので種ではなく胞子によって増えていきます。
この胞子ができる袋がつくのはビカクシダの場合、牡鹿の角のような形をしている胞子葉です。この葉の裏側につきます。この胞子嚢が熟すと破けて、中に入っている胞子がばら撒かれるということになります。
ですから、どうしても挑戦してみたいということであればこの胞子嚢がついているかどうかということをチェックしてみるのがいいでしょう。ただし胞子から培養して育てるのはかなり難しいです。
光のあて具合や土、水なども手加減が難しく、初心者の方で成功させるのは困難ですから子株から増やしていくのがベストです。ただ培養できないことも覚悟の上で挑戦してみるのも楽しいのでいろいろ参考にしてやってみてもいいです。
胞子から育てた場合、1か月以上たってから生えてくるということが多いです。ビカクシダはその姿からオシャレなインテリアとして非常に人気があります。品種もいくつかありますので、いろんなものを育ててみることも楽しめます。
そんなビカクシダには花言葉なんてあるのでしょうか。実はあります。ビカクシダの花言葉は信頼や助け合うというものです。これはビカクシダの着生して育っていくという性質からつけられたものでしょう。野生種ではほとんどが着生による生長ですから、これは着生する大木などの協力がなければ成り立たないものです。
ちなみにビカクシダはウラボシ科ビカクシダ属になります。小型のものもかわいらしくていいですが、せっかくですから大きな葉になるように育てて壁際の主役インテリアとして飾ってみるのも素敵なのではないでしょうか。
ビカクシダの歴史を知ろう
ビカクシダは古代植物といわれているほど歴史が古いです。原種はなんと3億年から5億年も前だといわれており、これは恐竜が生まれる2億年ほど前のことになりますので、どれだけ昔なのか想像しやすいのではないでしょうか。ビカクシダは漢字で書くと麋角羊歯と書きます。
葉が鹿の角に似ていることから名付けられたもので、麋というのは大鹿をあらわします。英名でもstag horn fernつまり牡鹿の角のシダという風に呼ばれています。通称ではコウモリランとも呼ばれますが、ランの仲間ではありません。原産や生息地は東南アジアからオセアニアを中心とした熱帯地方で、
野生種は他の大きな木に着生して育ちます。日本に渡来したのは明治初期のことだといいます。学名はプラティケリウムといい、ビカクシダは和名になります。市販されているものは鉢に植えられているものもありますが、
ビカクシダの魅力はやはり吊るし仕立てにした時か壁掛け風に仕立てた時が特に良いといわれています。栽培難易度は5段階中でいうと2くらいで、それほど難しいものではありません。しかしビカクシダは寒さには弱いのでそこはしっかりと管理してあげる必要があります。
ビカクシダの特徴とは
ビカクシダは2タイプの葉を持っていることが特徴です。株に密着している葉は裸葉といって貯水するための葉です。水やりの時にはここにたっぷりとかけてあげるのが良いです。元気なものは黄緑色をしており、古くなってくると茶褐色になってきます。
もう1つの葉は胞子葉で、この葉が鹿の角のような形をしています。水やりの際にはこちらにもきちんと与えましょう。観葉植物として育てられているのはインドネシア、太平洋諸島、オーストラリアなどが原産となっているプラティセリウム・ビフルカツムという品種です。
これは葉が比較的小型のもので、この品種の亜種であるウィリンキーという品種は胞子葉が長く垂れ下がっています。またオーストラリア原産のプラティセリウム・スペルブムという品種もあり、こちらは比較的大型の品種なのですが、外套葉を鉢に巻きつかせるように広げた形で販売されているのが特徴です。
あまり大きくならないタイプのものが欲しいのであれば熱帯アフリカ原産のプラティセリウム・エレファントティスなどもオススメです。こちらは外套葉に切れ込みが入りません。ビカクシダは多年草で、耐暑性は強いですが、耐寒性はいまいちなので気をつけましょう。
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ビカクシダは年間を通して日当たりが良い場所で育てるのが基本です。日陰では株が弱ってしまいます。土は腐植質で水はけのよいものが向いています。ピートモスを7、パーライトを2、小粒の軽石を1の割合で混ぜ合わせた土を鉢植えに入れて育てるのも良いでしょう。