アキザキスノーフレークの育て方
育てる環境について
水はけが良い、機質が高い土壌が向いています。鉢植えの場合は、小粒の赤玉土7に対し腐葉土3を割合とした土を使います。庭植えでは酸性度を中和させるために、植え付ける前には石灰を混ぜておきます。日蔭過ぎれば花付けに影響が出ますので、日当たりに良い場所か、
もしくは明るい日蔭で育てるようにします。ただし鉢植えの場合には、休眠中は、雨を避けた陽のあたらない場所で管理します。寒さには非常に強く、冬場の防寒は特に必要ありません。比較的栽培しやすい草花の一つです。一度植えると次第に球根が分かれて増えますが、
見栄えの面でも群植したほうが良く映えますので、鉢植えの中で込み合うようになってしまった場合を除き、掘り上げは基本的に必要ありません。増えてゆく球根に対応するため、あらかじめ少し大きめの鉢に植え付けておくと良いでしょう。花がついた後の手入れとしては、
枯れてきた花は花茎の下から切り取り、栄養が枯れた花に行くのを防止します。そうすることで球根に栄養が貯えられ、次の年も良く育つようになります。栄養を球根に与えるためには、葉は自然に枯れるまでは切らないようにします。
鉢植えで球根の掘り上げるタイミングは球根が増えすぎて込み合っていると感じた時ですので、数年に一回で構いません。アキザキスノーフレークの球根は、乾燥を嫌います。袋入りの球根として売られているのを目にしないのはそのためです。掘り上げた球根は、風通しの良い場所で若干乾かした後に植え替えます。
種付けや水やり、肥料について
植え付け時期は春咲きの10月の中旬から11月とは違い、アキザキスノーフレークは7月頃が植え付けの季節です。庭植えする時には、深さを5cmから7cmほど掘り、10cmほどの間隔で球根を植え付けます。鉢植えを行う時は、鉢が直径15cmの5号鉢であれば球根5球が目安です。
浅植えで、球根の先端が土すれすれに隠れる頃合いでよいでしょう。直径15cmの5号鉢に球根5球は、印象としてはかなり詰まっているものですが、このぐらい治まっていた方が、花が咲いた様子が美しくなります。水やりは、土の表面が乾いてきたらと感じた時に、たっぷりと与えます。
生育期間中はひどく乾燥させない注意が必要です。マメに植え替えを行う必要はありません。地上に出ている部分が枯れ始めたら休ませるために枯れた葉を取り除き、鉢ごと乾燥させます。この休眠中に球根が腐りやすくなるので、長雨に当てないように管理します。
翌年の栄養を貯えるためにも、液体肥料を少量与えておきます。地植えの場合には、肥料を与えなくても比較的よく育ちますが、足りないようであれば様子を見ながら与えます。休眠中は、水やりは必要ありません。乾燥と水やりの要領がわかれば、育て方は容易です。
過剰に株が詰まりすぎると今度は球根の育ちに影響が出て、次の年の花つきが悪くなってしまいますので、この時に調整が必要です。過密を避けるために、球根が増えすぎてしまったと感じたら植え替え時です。球根を掘り上げ、適当に分球して植え替えます。
植え替えに適している時期は、休眠に入る頃です。葉が半分以上枯れるので、それによって時期を見ます。じっくりと時間を掛けて効いてくるタイプの肥料を、土に混ぜておきましょう。
増やし方や害虫について
一度植えると球根が分かれしながら、だんだんと増えていきますので、タネか分球で増やします。病害虫がつくことには比較的強いのですが、モザイク病にかかることがまれに見られます。モザイク病とはウイルス病お一つで、発病している株の葉や花に淡いまだら模様が現れ、
その名の通りモザイクに見えます。カスリ状やそばかす状のものも見られます。これに感染することで株が萎縮してしまったり、葉が小さく縮れたり黄化したりと、様々な症状が出てきます。アブラムシが感染している植物の汁を吸う時にウイルスを一緒に吸い込み、
次の植物を吸う時に感染させてしまいます。モザイク病に感染していると、花を付けが悪く、正常な生育ができなくなってしまいます。一度感染してしまうと、直す方法はありません。感染している株を見つけた時には、直ちに他に感染するのを予防するため、引き離したり、
向きとったりすることが必要です。主にアブラムシによって感染するとされていますが、アザミウマやコナジラミ、ハダニなどが運ぶこともあります。防虫を行うことがオススメです。また感染しているアキザキスノーフレークやその他の植物に使った剪定バサミを使い回すことで感染することもあります。
使用する都度に熱処理をおこなったり、第3リン酸ナトリウムの飽和液などによって消毒を行います。手や植物の根などを消毒する時には、それ用の溶剤を使います。ただしこのウイルスは空気感染することはありませんし、人間にうるつこともありません。
アキザキスノーフレークの歴史
オーストリア、ハンガリーなどの南ヨーロッパ西部を原産国とするアキザキスノーフレークは、この名の通り、秋に咲くスノーフレークです。ヒガンバナ科・レウコユム(スノーフレーク)属の多年草で球根類です。白い花色と芳香がスミレに似ていることから、
属名にある「レウコユム(Leucojum)」は、ギリシャ語で白を表す「レウコスleukos」とすみれを表す「イオンion」と付けられました。しかしスノーフレークの和名、はスズランに似た花で葉はスイセンのようであることから、「スズランズイセン」もしくはオオマツユキソウ」と呼ばれています。
スノーフレークは英名ですが、花の姿が「雪のかけら」「ひとひらの雪」を連想させることから、Snowflakeとなりました。ただ「スノー」が冬を想起させてしまうことから、通常のスノーフレークは「サマースノーフレーク」などと呼ばれることもあります。
清楚な印象によって、花言葉には「純潔」や「汚れなき心」「清純」「清らか」といったものがあります。通常のスノーフレークも、アキザキスノーフレークも、花言葉は同様です。多くが湿地を生息地とする野草の部類となりますが、湿地を好む理由には繁殖のしやすさがあります。
種子に空気袋を持ち、水に浮かんで運ばれては広がってゆきます。また種子はアリを誘引する物質も持ち、虫たちもタネを運んで、新しい土地に根付くお手伝いを行います。可憐な花からは想像もつかないほど、繁殖力は旺盛です。花は白のほかに、ピンクなどもあり、その中でも様々な色合いがあります。
アキザキスノーフレークの特徴
細い葉の間から花茎を伸ばします。花は釣鐘状で直径1㎝で小さく、花茎の先端に2個から8個ほど下に垂れるような形で咲かせます。白色の花は緑色の斑点を伴い、ピンクは花弁の根元と先がうっすらとピンクににじむような色合いです。派手さはありませんが球根がたやすく増え、
いつの間にか大株になっています。ひとつひとつはささやかな印象でも、増えると見栄えは大変良いものです。アキザキスノーフレークの開花時期は8月の終わりから9月にかけてですが、バラツキもあり、10月に入ってから咲き始めるものもあります。
乾燥を嫌うものの、それだけ気をつけていれば容易に育てることができ、誰にでも楽しみやすい花の一つです。庭植えの場合、数年間植えたままでも勝手に分球してくれ、毎年掘り上げるような手間をかけなくても、毎年徐々に株を成長させながら、
花を咲かせてくれます。耐寒性は比較的ありますので、西日本であれば防寒も必要ありません。ただし普通の春咲き品種のスノーフレークと比べて時には、若干ですが寒さに弱くなります。関東より北に植える時には、霜を避けた南側に植え、マルチなどで寒さを防ぐ工夫が必要になります。
もともとが湿地を好む品種で乾燥には注意が必要ですが、休眠中は過湿も過乾燥も厳禁です。エデンの園を追われた天使がアダムとイヴを慰めるため雪のしずくに変えたという伝説を持つスノードロップと混同されることがありますので、注意が必要です。
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