カラマツソウの育て方
育てる環境について
育て方のコツ・栽培する環境に関しては、高山植物特有の性質で、耐寒性はあるものの耐暑性がやや低いため、夏を涼しく過ごさせることがポイントです。鉢植えの場合は、通常は日当たりがよく、軽く風が吹いて風通しの良い場所で管理します。
梅雨前からは、朝だけ日が当たる場所か、30~50%の遮光下か日陰へ移動させましょう。特に夏の強い日ざしは大敵で、猛暑日には涼しい日陰に取り込んで、葉焼けや脱水から守りましょう。寒さにはある程度強いため、冬は特に気をつかいませんが、鉢の中で株が根詰まりを起こしたり、
生長に追いつかず芽が浮き上がった大株、凍結など寒さが厳しい地方では、棚下などで保護・管理しましょう。庭植えの場合は、高さのある落葉樹の下や塀の近くなど、午前中に日が当たる程度の場所を好むため日中の日の当たり方を観察しながら植え付けましょう。栄養分の多い土に植えます。
強風で茎が折れることがあるので、風の強い日は鉢を移動させるか、強い風が通らない場所に植えます。用土に関しては、鉢植えの場合、鉢は通気性と排水性がよく乾きすぎないものが適しています。駄温鉢や焼締め鉢、釉薬(うわぐすり)のかかった鉢で、
鉢穴の大きめのものがよいでしょう。山地性の種類では、みじんを抜いた赤玉土小粒と鹿沼土小粒を等量に配合します。高山性の種類では、市販の山野草用培養土か、硬質鹿沼土小粒、日光砂小粒、軽石小粒を5:4:1程度の割合で配合したものがよいでしょう。
種付けや水やり、肥料について
種付けの適期は、3月下旬〜4月下旬にかけてと、9月下旬〜10月中旬にかけての2回の時期が適切です。また、植え替えは毎年または2年に1回行い、根詰まりを防ぎましょう。適期は種付けと同じような時期で、春に芽が出る前ごろか、秋に花茎が枯れて株元から新芽が伸び始めたころが適切です。
注意点としては、秋期の植え替えの際には、芽を傷めないように注意しましょう。水やりに関しては、カラマツソウは湿原にも生えていることもあって、乾燥を嫌います。特に成長期の脱水・水やり不足は致命傷となってしまうため、常に注意し管理するようにしましょう。
春と秋は朝、夏は夕方以降に、毎日水を与えるようにします。夏期など特に乾燥しやすい時期は、状態を見ながらになってしまいますが、朝晩2回与えてもよいでしょう。冬は多湿を避けないといけませんが、逆に冬芽が乾燥してしまうと芽出し時に萎縮して株が弱ってしまうため、
極端な乾燥状態も避けるようにしましょう。春になったらたっぷりと水やりをして、芽出しを促しましょう。肥料に関しては、植え込みや植え替えの際に、元肥として緩効性化成肥料を少し与えてやりましょう。鉢植えの場合は、
芽出し後に市販の山野草用の置き肥をしましょう。春と秋に、2週間に1回の割合で三要素(チッ素、リン酸、カリ)を等量に配合した液体肥料を施すと、とても効果的です。庭植えの場合は、春と秋の2回、株のまわりに置き肥をしましょう。
増やし方や害虫について
カラマツソウの増やし方に関しては2つあり、株分けとタネまきが適しています。株分けについては、植え替え時に行うのが良いです。手で軽く引っ張って、外れる程度の株を分けます。春はその後の株の脱水に、秋は芽を傷めないように注意しましょう。
タネまきについては、9月下旬から11月上旬にかけてが適期となります。とりまきするか、タネを冷蔵保存して、翌年の2月下旬から3月下旬にまきます。早いものでは約2年で開花する株へと育ちます。また、一年を通して管理・施す主な作業として、花がら摘みと花茎切りがあります。
花がら摘みは、タネをとらないものは、花後に花がらを摘みとってしまいましょう。花茎切りは、花茎が枯れ始めたら、秋の新芽の成長を促すために花茎を切ります。かかりやすい主な病気としては、根腐れ、軟腐病、うどんこ病があげられます。
根腐れは多湿が原因で発症し、軟腐病は新芽のころに多く見られます。葉に白い粉が現れたら、うどんこ病です。市販の薬剤か、酢を水で30倍〜50倍に薄めた液をかけてください。主な害虫は、ハダニ、アブラムシ、ナメクジ、イモムシ、ヨトウムシ、ネマトーダ(ネコブセンチュウ)です。
梅雨のころからハダニが多く発生します。アブラムシは葉や花茎に多く発生します。ナメクジ、イモムシ、ヨトウムシなどは地上部を食害します。根に小さなこぶのようなものが見られたらネマトーダ(ネコブセンチュウ)です。発見しだい、駆除しましょう。
カラマツソウの歴史
カラマツソウ(唐松草)/学名:Thalictrum aquilegifolium(唐松草)・Trautvetteria japonica(紅葉唐松)キンポウゲ(金鳳花)科・カラマツソウ属(Thalictrum)の宿根草・大型の多年草です。「Trautvetteria」は、19世紀のロシアの植物学者「Trautvetter」氏にちなんだ名前です。
日本(japonica)の中国地方・広島県は芸北山地で発見されたことから広く知られることとなりました。カラマツソウは、北海道から本州・九州まで広く分布し、暖帯から亜寒帯の山地~高山帯の草原・草地に自生する、日本原産・日本固有種である高山植物です。
花がカラマツの葉の付き方に似ていることからこの名前が付きました。生息地として生育できる環境も広く、人里に近い野山から、山地などの草原、湿原や高山の草原地帯などの日当たり良い場所でその姿をよく見ることができる、夏山を代表的する植物の一つです。
また、本州・四国・九州および中国東北部・シベリアなどには、果実が倒卵形で先がとがらない別変種・マンセンカラマツが生息しています。カラマツソウによく似たアキカラマツは、花は淡黄色で、痩果の基部は狭くならない種で、これも日本で生息・分布しています。カラマツソウを含めたこれらカラマツソウ属は、この他にも北半球に約100種もの種族があり、日本にはその中の16種が分布しています。
カラマツソウの特徴
カラマツソウは、高さ(草丈)50〜150cmほどの高山植物です。カラマツソウの形状の特徴として、葉は根本から出て、二回ないし三回羽状複葉で、小葉は長さ2〜3cmで灰緑色の楕円形の形状を持ちます。また葉には托葉(たくよう)と小托葉があります。根本から高く伸び上がる花茎を伸ばし、
その先に複散房花序の形で直径1cmほどの白色の花を多数つけます。茎は直立し高さ0.5~1.2メートルまで伸びます。花期は6月下旬~9月上旬にかけてで、白い小さな花を房状に咲かせます。厳密には、花のように見える白い部分は花弁ではなく、白い雄しべの集合体です。雄しべ(花糸)は、
上部がやや平らな複散房花序に多数つきます。細長い卵形の萼片(がくへん)がありますが早く落ち、花弁は存在しません。果実は痩果(そうか)、楕円形で先がとがっているのが特徴です。冬の雪解け後、しばらくたつと芽を出します。茎は立ち上がり、萼は欠落して花弁はありません。
花後1ヶ月〜2ヶ月でタネが実って落ち、茎が枯れ、株元から新たな新芽が伸び出します。秋も半ばを過ぎたころから葉が色づき始めて、やがて枯れて落葉し休眠(冬眠状態)に入ります。カラマツソウの仲間には似たような種類が多く、
生育地も種類によって人里近い山地から人里離れた高山地帯まで多種多様です。いずれも山野草独特の繊細で儚い姿・風情があり、鉢植えのほかにも、庭植えや茶花としても人気の高い一群です。
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