ヒメサユリの育て方

ヒメサユリの育て方

ヒメサユリは高山植物として愛好家も多い日本固有の品種ですが、楚々として咲くユリは日本だけでなく世界中で古くから愛されてきました。日本では古事記や最古の歌集万葉集にもユリが登場し古来から日本人に親しまれてきたことがわかります。

育てる環境について

ヒメサユリは東北南部から新潟の産地にかけて自生している日本固有の品種ですから、冷涼な地域での栽培に適しています。関東などでは高山植物として管理して直射日光に当てすぎないなどの配慮が必要と言えるでしょう。夏場はできるだけ地温が上がらないように管理することが大切です。

特に直射日光に弱く真昼の日光に当てすぎると葉焼けを起こして枯れてしまうことがありますので注意が必要です。半日陰に調整できるネットなどを使用して温度調節をし、風通しの良い場所に置くことが必要です。そのため地植えするよりも移動して管理しやすい鉢植えでの栽培がお勧めです。

ただし春の成長期から開花の時期にかけては十分日光に当てて栄養を蓄えさせましょう。この時期に日光が不足してしまうと花つきが悪くなったり、ピンクの花色がでないこともあるので注意が必要です。さらに高地の環境を考えて9月以降は乾かし気味に管理することも大切です。

土が乾いたら水をやりますが、常に鉢が水浸しになるようなことは避けて乾かし気味に管理することで来年も綺麗な花を付ける丈夫な株に育てることができます。東北以北の冷涼な気候の中ではヒメサユリを地植えで育てることもできますが、関東以南は鉢植えで管理するのが良いでしょう。

そのため以前からヒメサユリはガーデンフラワーとしてではなく高山植物の愛好家にも高い人気があり、遮光ネットや鹿沼土などの用土を使って高山植物として鉢で管理する育て方も広く行われています。

種付けや水やり、肥料について

ヒメサユリの植え付けは連鎖障害に気をつけて行います。必ず新しい用土を作りゆりを植え付けます。温度が上がりにくい素焼きの鉢を使ってそこに日向土を入れて水はけを確保します。その上に赤玉土と腐葉土を混ぜたものに緩行性のつぶ状肥料をすきき込んだものを入れて植え付けます。

地植えの場合には根鉢の3倍の大きさの植え穴を掘ったあと苦土石灰をまいておきます。そしてバケツいっぱい程度の腐葉土を元肥として入れておきます。球根の高さの約二倍の深さに植え付け土を柔らかくおさえたあとに水をたっぷりとやりましょう。

鉢植えの場合夏には二重鉢にするのがお勧めです。ヒメサユリの鉢の更に一回り大きな鉢を用意してそれを被せ、隙間に赤玉土を入れて管理することで鉢の温度上昇をある程度防ぐことができます。水やりに関しては庭植えの場合には基本的に水やりは必要ありません。

鉢植えの場合には表面が乾いたら水をたっぷりと上げて鉢ぞこから水が出るくらいやることが大事です。ただし9月以降は水遣りの回数を控えて乾かし気味に管理することで、次の年の花付きをよくすることができます。肥料に関しては芽が出たら緩行性のつぶ状肥料をひと株あたり100グラムほどやり、

花が終わってもお礼肥として緩行性の肥料を100グラムあげます。リン酸とカリウムが主体の肥料なら株が軟弱にならずに丈夫に育ちます。鉢植えの場合には9月まで液肥を水やり替わりのに上げるのが良いでしょう。

増やし方や害虫について

ヒメサユリの増やし方として最も確実なのは種をまくことです。開花まで実に6年ほどかかりますが効率的に咲かせることができます。10月くらいに果実が熟して先が割れますので、そうなったら種を取り、用土に撒きましょう。苗床を乾かさないように注意しながら育てます。

乾燥させることで種は保存できますので自分のタイミングで植えることも可能です。また鱗片ざしでも増やすことができます。適しているのは花が咲き終わった直後から1ヶ月後までです。球根の大きく充実した部分の鱗片を根元から剥がし、内側を上にしてバーミキュライトに斜めにさします。

その上から鹿沼土などの要土をかぶせて管理することで鱗片から発根します。ただし、ヒメサユリは球根自体が小さいのでたくさんの鱗片を取ることはできません。ヒメサユリの病気ではウイルスがあります。このウイルスはユリ科の植物には多いものですが、

一度感染すると治らないのでほかの植物に感染しないように抜いてしまうしかありません。球根腐敗病もあり、球根に茶色の斑点が出来腐ってしまいます。購入時にこうしたウイルスに感染していないかよく見てチェックしましょう。

斑点や柔らかい部分のある軟弱な球根は購入を避けましょう。またヒメサユリはアブラムシもつきやすいので注意しましょう。緩行性の株元にばら撒くタイプの殺虫剤、やスプレー式の殺虫剤などを使ってアブラムシがひどくならないうちに退治することが大切です。

ヒメサユリの歴史

ヒメサユリは高山植物として愛好家も多い日本固有の品種ですが、楚々として咲くユリは日本だけでなく世界中で古くから愛されてきました。日本では古事記や最古の歌集万葉集にもユリが登場し古来から日本人に親しまれてきたことがわかります。

観賞用として栽培され始めたのは江戸時代からと言われています。シーボルトにより日本のユリがヨーロッパに輸出され瞬く間にその美しさや香りの良さが人々に愛好されるようになり広まりました。欧米ではマドンナリリーなどが親しまれており、

聖母マリアの象徴として広く親しまれていましたが、マドンナリリーは栽培が難しいことがネックでした。ユリはヨーロッパにおいても純潔の象徴、美しさの象徴として紋章や絵画のモチーフとして使われてきましたが、園芸品種として楽しまれるようになるまでは時間がかかりました。

江戸時代にシーボルトによって日本原産のユリがヨーロッパに紹介され、その美しさと育てやすさから一気にヨーロッパでのユリへの関心が高まりました。中でもテッポウユリはイースターリリーという名前で親しまれるようになり、その純白で美しい花は教会などに多く植えられました。

日本のユリは強健で育てやすいため、ヨーロッパの気候にも良くなじみ、品種改良に使われました。現在流通しているユリの品種のほとんどがこの日本のユリが影響して作られているといっても過言ではないほど、日本のユリは園芸種の品種改良において大きな役割を果たしました。

ヒメサユリの特徴

ヒメサユリは日本原産の固有種で生息地は東北地方の南部から新潟県の産地に多く見られ、亜高山帯の草原に自生しています。冷涼な地域に自生していることから高山植物として愛好されてきた歴史もあります。実名はオトメユリにも関わらずヒメサユリという名称で知られており、

流通名もこちらの方が名が通ると言えるでしょう。ヒメサユリは球根妖精栽培が行われているため野生ゆりの原種としては流通量が多く、入手するのも容易です。栽培するには暑さに弱いため、高山植物としての管理を目指して育てるのがポイントとなります。

一般的にユリ科の植物は6月から7月の初夏にかけて開花しますが、ヒメサユリの開花はユリの中では早い方で5月上旬から開花し始めるのが特徴です。ただし実際の高地では標高によりますがやはり5月から8月に開花することが多いようです。

草丈は20センチメートルから50センチメートル程度、茎は真っ直ぐに伸びることもあればやや斜めになることもあり、細身で葉は広く厚みがあるのが特徴です。花はピンクの濃淡が美しく、短い筒型をしています。花色が可憐で山々の合間に楚々として咲いている様子は登山客を束の間ほっとさせる貴重な花です。

ただし野生でのヒメサユリは大変貴重になっているので自生している地域では、地域を上げて保全活動をしているところがあります。この美しい花を球根要請栽培で容易に入手でき、栽培を楽しめることは愛好家にとって大変うれしいことと言えるでしょう。

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